ミュージカルの脚本でも書いてみるか!

過去、依頼されて書いたミュージカルの脚本です。

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BUNの物語

「BUNの物語」

登場人物等
人間
おばあさん       一人で貧しく生活をしているやさしいおばあさん。
ベルナー(兵士)    
ポッポ(ピエロ 男)
ピッピ(ピエロ 女)
シェルドン(船乗り)
ジャンヌ(空き地の少女)
ミレーニ(市場の魚屋の女)
ジェラール(市場の魚屋の男)
ルアーナ(市場の果物屋の女)
イザベル(市場の古着屋の女)
フォルジェ(市場の女)
ベルナール(悪猫団対策本部長)
フレデリク(悪猫団対策担当官)


ブン(灰色猫 雄)     「悪猫団」の親分 子猫の時捨てられてから人間をひどく恨んでいる。
クタクタ(しましま猫、雄) 「悪猫団」子分。戦場で生まれて、兵士に育てられた。
ガラガラ(三毛猫、雌)   「悪猫団」子分。劇場の楽屋で生まれて、旅回りの役者に育てられた。
カイゾク(黄色猫、雄)   「悪猫団」子分。チョビヒゲ、ボロボロとともに船乗りに育てられた。
チョビヒゲ(青猫、雄)   「悪猫団」子分。
ボロボロ(ピンク猫、雌)  「悪猫団」子分。
バサラ(黒猫、雄)     捨て猫のブンを育てた、「悪猫団」の前親分

パオン(ヨークシャーテリア、雄) 「悪猫団対策本部」おかかえの犬。天然ボケ犬。
ピラト(セントバーナード、雌)  「悪猫団対策本部」おかかえの犬。パオンに好意を持っている。
ミミズク
アトラス(雄 年寄り)    ブンたちをずっと見守っている。空き地の大きな楓の樹に巣を作っている。    

音楽
灰色の雨の中で
平和な空の下
悪猫団対策本部の歌
作戦会議の歌
猫のお食事
青い海の上で
ふるさとを思って
ガラガラのダンス
ピエロの踊り
灰色の雨の中で
明日

平和な空の下
幸せな日々
猫が帰ってきた
ふるさとを思って
猫のダンス
幸せな日々
悪猫団対策本部の歌
平和な空の下
虹を思い出して

あらすじ
第二次世界大戦が終わりかけた頃のヨーロッパのある港町。戦争に疲れて、町を歩く人たちの足取りは重い。空からは灰色の雨が落ちてきている。人々は相変わらず、無口に通り過ぎる。そんな街角の路地の前に、小さな木箱が置いてあって、中からかすかな、子猫の鳴き声がする。灰色の小さな子猫が、灰色の雨に濡れながら、必死に鳴いている。立ち止まる人はあっても、誰もその子猫を拾おうとはしなかった。
 それから、数年の時が経ち、戦争も終わって、港町は活気にあふれていた。町には、「悪猫団」という「どろぼう猫の集団が出没していて町中がこのうわさであふれかえっていた。町には「悪猫団対策本部」までできて、この「悪猫団」を捕獲しようと必死になっていたが、「悪猫団」の親分、ブンがなかなかずる賢く、いつも逃げられてしまっていた。
 夕方の市場、今日も「悪猫団」が獲物を狙っている。市場には、「対策本部」の本部長以下、おかかえの犬たちも警戒のため来ている。ブンは、おとりの猫を使って、まんまと市場から今夜の夕食を手に入れてしまう。後には、犬たちを叱る本部長、そして本部長を叱る市場の女。
 場所は町外れの森にある小さな広場。今日のかせぎを分配するため、「悪猫団」の集団が集まってきている。分け前のことでもめごとを起こす猫もいて、広場は険悪な雰囲気が漂っている。そこにブンが登場して、猫たちを一喝し、騒ぎは収まる。お腹も膨れて、猫達は丸く輪になって、世間話を始める。やがて、話は人間のことになり、それぞれの猫が人間をどう思うのか話し始める。船乗りに拾われた猫は、嵐で遭難したときに、自分たちを助けてくれた船員の話をし、戦場で生まれた猫は、自分をかばって負傷した兵士のことを、また、サーカスの楽屋で産まれた猫は、育ててくれたピエロの夫婦について思い出を語り、それぞれが本当は人間が好きで、人間と仲良くしたいと思っていることを話す。ブンは、このような思いではなく、だんだん腹が立ってきて、捨て台詞を残し、広場の隅で寝てしまう。普段は冷静なブンがはげしく怒ったので、話をしていた猫たちは動揺をかくせない。話をずっと、木の上で聞いていた、ミミズクの「アトラス」が猫達に話し掛ける。なぜブンがあのように人間を嫌うのかを、そして本当は人間に甘えたがっていることを。
 それから、何日かして、ブンは一人で、ある貧しそうな家に盗みに入るが、案の定、めぼしいものはない。突然、人の気配がしてブンはあわてて、近くにあった袋の中に飛び込む。部屋に一人のおばあさんが入ってきて、そろそろと動き出す袋を見つけ、中からブンを引きずり出す。その袋には小麦粉が入っていて、ブンの毛にその小麦粉がついて灰色のブンは、真っ白。ブンは観念をするが、おばあさんは意外にも大喜び。昔飼っていた「シロ」という白い猫が帰ってきたものと勘違い。そして、歌のうまいしましま猫にも会って、歌を聞きたいとブンに話す。その夜、ブンはしましま猫の「クタクタ」に、おばあさんをだましに行こうと誘う。「クタクタ」は見事に、おばあさんに歌を聞かせ、おばあさんはまたまた大喜び。そして、踊りのうまい三毛猫にも会って、踊りを見たいと言う。ブンは同じように、三毛猫の「ガラガラ」を呼出して、誘う。「ガラガラ」も何とか、おばあさんに踊りを披露し、おばあさんを喜ばせる。おばあさんはさらに、おしゃれな三匹の猫にも会いたいと言い、ブンは「カイゾク」、「チョビヒゲ」「ボロボロ」を誘う。おめかしした三匹を見て、おばあさんは大喜び。ブンもやれやれと一安心・・・ところがおばあさんはさらに、もう一匹黒猫の「クロ」にも会いたいと言い出す。ブンを育てた「バサラ」は黒猫ではあるが、1年前に死んでしまっている。困ったブンは、自分がシロとクロの二役をこなすことを決意する。「シロ」になる時は小麦粉の袋に飛び込み、「クロ」になる時は、暖炉の燃えカスの炭の中に飛び込むことで、この問題を解決することとしたのだが、おばあさん、「シロや」と呼んだり、すぐに「クロや」と呼んだりするものだから、ブンはその日から大忙し。
とうとう、ばれる日がやってくる。ある朝、「クロや」と呼ばれたブンが暖炉に飛び込んだ時、暖炉にはかすかに火種が残っていて、ブンの毛に火が燃え移ってブンは大騒ぎ。その声に驚いたおばあさんが駆けつけ、あわてて水をブンにかける。火が消えた後に残る灰色の猫を見つめて、おばあさんはすべてを理解する。そして、もう猫達がみんな自分の飼い猫だと告げる。ある日、市場に買い物に行くおばあさん、そしてその後ろを付いて歩くブンたち。いぶかしげに見つめる市場の女たち、そしてあの犬。対策本部のベルナールたちが近づいて、猫たちが「悪猫団」であることを告げるが、おばあさんは自分の飼い猫だと言い張る。つい、くせで魚屋の魚を盗もうとする、「クタクタ」を必死に止めるブン。猫達はお行儀良く、おばあさんの買い物が終わるのを待つ。市場ににわか雨が降り、やがてそれが止むと、空には虹が出ている。
第一幕
オープニング
   舞台には傘をさし、レインコート姿の人々が登場

   
   音楽・灰色の雨の中で(インスツルメント)
     
     明るい音楽から始まり、やがて変調し暗い音楽へと変わる】
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(思い出せない、空の色も街の明かりも)
(あのたくさんの色を最後に見たのは、いつだったのか?それすら思い出せない)
♪灰色の空の下、灰色の心が歩いてる
ときめいていた心はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(どこかで、動物の声が・・・)
(あれはたしか、そう子猫の声だ)
(でも、今の私たちには何も見えない)
♪灰色の空の下、灰色の雨が降る♪
(灰色の心には何も見えないのさ)
♪僕は猫、捨てられた子猫
灰色の毛並みのちっちゃな子猫
灰色の雨の中、誰も僕に気づかない
おなかも空いたしとっても寒い♪
(誰か、僕を拾ってよ)
(やはり、子猫の声がする)
(でも姿は見えない)
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
【やがて音楽は消え、軍隊の行進する音が響く、子猫の鳴き声がする】
     
     人々は、暗い表情で下向きに街角を往来する。路地の入り口に小さな木箱。かすかな子猫の鳴き声。だんだんこの泣き声が大きくなってくる。往来する人々の中には、この声に気が付き立ち止まって箱をのぞく人もいるが、やがて黙って去っていく。街角からすべての人が消え、残ったのは木箱だけ。その木箱から灰色の子猫が顔を出して、悲しそうに鳴く。遠くから靴音(軍隊の行進の音)


第一場  平和な市場 

町の市場。魚屋と果物屋がテント張りの店を出している。
   歌・平和な空の下
     
     【軽やかなメロディーから始まり最後は市場全体での合唱となる】
(長かった戦争もようやく終わった)
(生きるためには、とにかく食べ物)
(それに着るもの!)
(市場が元気を出せば、みんなも頑張れるさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
つらい思い出、心の傷は
簡単に消えはしないけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!うまい魚が入ったよ)
(この帽子、みてごらんよ!おしゃれだろ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(そこのおねえさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスさ)
♪昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
     
       猫が一匹、魚を盗んで舞台を横切る

ミレーニ   「お前さん、お前さんたら。わかってるのかねえ。また、あの猫が来たよ。昨日は5匹だよ、しかも値段の高い魚ばっかり。」
ジェラール  「わかってるってば、俺だって気をつけてはいるんだからよ。」
ミレーニ   「だいたい、お前さんがちょおっと若くてきれいなお客さんが来た日にゃ、もうでれでれしちゃって、悪猫団が店先に来たことにも気がつかないんだから。ほら、この間だって、あたしが言うまでそこのマグロとひらめの間に灰色の猫が昼寝をしてたことに気がつかなかったんだから。」
ジェラール  「ありゃ、すごかったな。ああ堂々と寝てられると案外気がつかんもんだな。あははは・・・」
ミレーニ   「何がおかしいのよ、しっかりしておくれよ、お前さん。家にゃ三人の可愛いこどもがいるんだよ。こう毎日、毎日も悪猫団にとられていちゃ、一家全員飢え死にだよ。」
       隣の果物屋のルアーナと古着屋のイザベルが顔を出す。
イザベル   「おやおや、また喧嘩かい。まあ、あの戦争に比べりゃ可愛いもんだけどさ。うちも、やられたんだよ、猫に。仕入れたばかりの青いショール、高かったんだよ。本当にくやしいったらありゃしない。」
ルアーナ   「それにしても悪猫団にも困ったもんよね。うちみたいな果物屋じゃ、猫に狙われそうなものなんか、ないからって安心してたら、悪猫団にも変なのがいるんだよね、お宅のダンナみたいに・・・失礼・・・何の話だっけ?あ、そうそう、変わり者の猫。ピンク色の毛の猫が、何とったと思う?」
イザベル   「さて、なんだろね。メロンかね、それともイチゴ?」
ルアーナ   「それがね、果物じゃなくて、果物かごを盗まれたのよ。」
ジェラール  「あっ、それて。悪猫団の一匹が、魚を三匹入れるのに使ったやつだよ。世の中にゃ、頭のいい猫もいるもんだと、猫を追いかけるのも忘れちゃってさ。」
ミレーニ   「感心してる場合じゃないだろ、お前さん。生活がかかってるんだよ。ようやく戦争が終わって、これで安心して商売ができると思っていたら、今度はどろぼう猫に邪魔されるのかね、ほんと、何とかしてもらいたいね。」
ルアーナ   「そう言えば、町に悪猫団対策本部ができたってね?でも本当に、猫を捕まえてくれるのかねえ。」
ミレーニ   「なんでも、悪猫団の親分は、灰色の大きな猫で、ずいぶん頭が良くて、いつも裏をかかれているって話だから、当分無理じゃないのかねえ?」
        
        悪猫団対策本部長ベルナールと担当官のフレデリクが犬二匹を連れて登場

歌・悪猫団対策本部の歌
     
     【コミカルに、リズムよく】
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪
(我々は、悪猫団対策本部から参りました)
♪ようやく平和になったのに
どろぼう猫が現われて
苦情殺到、みんなに怒られ
大の大人がのら猫退治♪
(おいおい、しっかりやっておくれよ)
(一生懸命、頑張ってるんですが・・・)
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
ここかと思えばまたあちら
悪猫団はずるがしく
なかなかなかなか、つかまえられない
今日も時間がむなしく過ぎる
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪

フレデリク  「本部長!質問してよろしいでしょうか?」
ベルナール  「何かね、フレデリク。私の女房の体重だったらノーコメントだが。」
フレデリク  「私は、こう思うのです。」
ベルナール  「そりゃ、君が間違ってるよ。」
フレデリク  「まだ、何も言っていませんが・・」
ベルナール  「ああ、そうか・・・それで?」
フレデリク  「どうして、悪猫団は捕まらないのでしょうか?」
ベルナール  「答えは、簡単じゃよ。」
フレデリク  「何でしょう。」
ベルナール  「悪猫団の方が、悪猫団対策本部の担当官より頭が良い・・・・ことしかないじゃないか!!」
フレデリク  「なるほど、それでわかりました。・・・えっ、それって・・・」
ベルナール  「さあ、市場に着いた。今日はここを警戒だ。」
フレデリク  「パオン、ピラト!今日こそ猫に負けるなよ!」
パオン、ピラト「わん!」
       
        フレデリク、市場の人たちにあいさつに行く

ベルナール  「みなさん、悪猫団対策本部長のベルナールです。今日こそ、あの悪猫団を一網打尽にすることをお約束いたしまあす。」
フレデリク  「だ、大丈夫ですか、そんなこと言っちゃって、私は知りませんよ。」
ミレーニ   「何だか、たよりないねえ、その犬だって、あんまり利口そうな顔をしていないし」
ジェラール  「ま、とにかくよろしく頼みます。家族の生活がかかってますんで」
ベルナール  「どうぞ大船に乗ったつもりで商売してください。」

        舞台がすこしずつ、暗くなる。

第二場  市場は大騒ぎ

     夕暮れの町の市場。たくさんの客でにぎわっている。舞台隅に悪猫団が登場する。

歌・作戦会議の歌(ささやくように)
     
     【ひそひそと話すように】
♪ニャー、ニャー、ニャー
さあ、うまく仕事やろうじゃないか
失敗したら夕飯抜きさ
だからしっかり作戦立てて
食べ物たっぷり手に入れようぜ♪
(どうしたら、うまくいくかニャー)
♪ニャー、ニャー、ニャー
まず、だれか騒ぎを起こすんだ
みんながそれを見てる間に
魚や肉をいただくんだ
もてる分だけ盗むのさ♪
(そのあとはどうするんだ?)
♪ニャー、ニャー、ニャー
あと、一目散ににげるのさ
四方八方に行くんだぜ
無事に逃げたら夜を待ち
いつもの森で待ち合わせ
ニャー、ニャー、ニャー
ニャー、ニャー、ニャー♪

チョビヒゲ  「オヤブン!どうします?悪猫団対策本部が来てますぜ。」
カイゾク   「今日は、やめときますか?」
ボロボロ   「でも、お腹がすいてるし」
ブン     「リスクを恐れていては、大きなゲインは望めない。」
ガラガラ   「何?それって?」
クタクタ   「こんな格言があるってこと。言い換えれば『虎穴にいらずんば虎児を得ず』」
ガラガラ   「いやだ、おけつだって」
クタクタ   「おけつじゃない!こ・け・つ!!」
ブン     「大きな獲物を得るには、それなりの危険が伴うことを覚悟しろということさ。」
ボロボロ   「じゃ、予定通り、やるのね。」
ブン     「もちろん、やるさ。目標はあのいつもの魚屋。クタクタとガラガラは、対策本部のあのあほ犬どもを挑発して騒ぎを起こす。そのすきに、おいらたちは魚屋から、おいしい魚をいただくって寸法だ。」
クタクタ   「それじゃ、みんなでいつものエールを!!」
        猫たち、まるく輪を作って
猫たち    「にゃー、にゃー、にゃ、にゃ、にゃ、(三三七拍子で)、エーイ!」
ブン     「落ち合う場所は、町外れ、森の広場だ。では作戦開始!」

        猫たち、忍び足で市場の中に。市場にはパオンとピラトの二匹の犬が座って話をしている。

ピラト    「ねえ、ちょっとパオン!パオンは私のことどう思う?」
パオン    「ずいぶん体格の良い犬だと思うよ。」
ピラト    「そりゃ、私はセントバーナード、体重は65キロもある。・・・そうじゃなくって、あれよ、あれ。」
パオン    「ああ、あれか。昨日の夕食の肉、独り占めしたことだったら、もう気にはしてないぜ。おいらは体ちっちゃいし、それにあんまり肉は好きじゃないから。」
ピラト    「ごめんね、あの肉を見ると、もうどうしてもとまらないのよ。・・・そうじゃなくって、本当ににぶいんだから」
        犬の目の前を、猫が通り過ぎる。
ピラト    「見た。今何か通らなかった?」
パオン    「何かが通ったね。尻尾が見えたような気がしたが」
        再び、猫が通る。
ピラト、パオン「悪猫団だあ!」
        パオン、逃げようとする。
ピラト    「(パオンの尻尾をつかまえて)逃げちゃだめよ?猫を捕まえるのよ!」
        パオン、ピラトわんわん鳴きながら、猫を市場の中で追いまわす。
        市場は大騒ぎになり、市場の人たちは猫、犬の追いかけっこに気を取られる。
        この隙に、ブンは果物屋に入り、果物かごを盗み出して、隣の魚屋へ。猫たちはまんまと魚を手に入れる。ミレーニたち、ようやく猫に魚を盗まれたことに気づく。
ミレーニ   「お前さん!また、やられたよ!しっかりしておくれよ。」
ルアーナ   「うちもだよ、またかごを盗まれちまった。」
ジェラール  「おい、対策団の本部長さんよう、さっきなんて言った。大船に乗ったつもりだと?そりゃ、藁で作った船かい?」
ベルナール  「申し訳ない。こんなはずじゃなかったのに。フレデリク、君はいったい何をしていたんだね!まんまとおとりの猫に気を取られてしまって。これで今月の給料はなしだぞ!」
フレデリク  「(犬に向かって)おいおい、これで三ヶ月連続給料なしだよ。」


第三場  森の広場
 
     町外れの森の広場、すっかり暗くなった空には三日月が出ている。猫たちが収穫の魚をくわえて登場。

クタクタ   「大成功!大成功!こんなにうまくいくとは!だから泥棒稼業はやめられません。」
ボロボロ   「もう、お腹がぺこぺこよ。早く食べましょうよ。」
クタクタ   「みんな、ちょっと待ちなよ。ブンがまだ戻ってない。食べるのはブンが戻ってからだ。」
ガラガラ   「そうよね、私たちがこうして毎日、毎日ごちそうにありつけるのも、あのブンがいるからよね。」
カイゾク   「一年前、おいらたちが、飢え死に寸前の状態で、この町に転がり込んできた時、最初に声をかけてくれたのがブンだった。それから三日間、ブンは俺たちに食べ物を運んでくれた。」
チョビヒゲ  「そうそう、毎日、食べ物を運んでくるたびに、ブンの体には新しい傷ができてた。」
ボロボロ   「風邪をひいていた私には、あったかな毛布を持ってきてくれた。」
ガラガラ   「でも、ブンはなぜあんなに人間を目の敵にするのかしら?クタクタはそのわけを知っている?」
クタクタ   「おいらがブンと会ったときには、もう今のブンと同じブンだった。前の親分のバサラが死んでから、さらに人間嫌いになったと聞いたが・・・」
        ブンが、果物かごを引きずりながら登場
ブン     「やあ、みんな無事か?良かった、良かった。それにしても、こいつは重かった。(かごの中から魚を取り出しながら)誰だい、このふぐを入れたのは。おいらを育ててくれたバサラという猫がいた。バサラは立派な野良猫だったが、たった一つ欠点があったんだ。それはふぐが大好きだったということだった。」
クタクタ   「そのふぐって、うまいのかい?」
ブン     「おいらも一度食べたが、そんなにうまいもんだとは思わなかった。でも、バサラは大好きで、ある日、間違ってふぐの肝までくっちまったんだ。バサラはふぐの毒にあたって、『苦しい、でもうまい。苦しい、でもうまい。苦しい、でもうまい。』と言いながら、死んじまったよ。」
ボロボロ   「へえ、そうだったの。そのふぐ入れたの私よ。だってそのお魚って、とても愛嬌のある顔してたんだから・・・ごめんなさい。(ボロボロ、泣く)」
ブン     「相変わらずボロボロは泣き虫だな。さあ、そんなことより、食事にしよう。」

歌・猫のお食事
     
     【猫が宴会、大騒ぎ、無礼講】
♪今日の稼ぎを食べようじゃないか
猫の食事のごちそうは
何といっても魚が一番
しかもとれたて新鮮なやつ
(この魚なんか、今にも泳ぎそうだぜ)
苦労して盗んだやつほどうまいんだ
腹いっぱい食べようじゃないか
残したりしちゃばちがあたる♪
(フグは駄目だぜ、いくらうまくてもな)
♪今日の稼ぎを食べようじゃないか
いくらうまいと言ったって
魚だけじゃいけないよ
野菜も我慢して食わなきゃね
(かっこ悪くないか?キャベツなんか食ったら)
文句言わずに食べるんだよ
それで今日を生きるんだ
今日の疲れをぶっとばせ♪

カイゾク   「あーあ、おいしかった。特にこってりとしたマグロが一番だったかな。」
チョビヒゲ  「それにして、思い出すのはあのあほ犬達の顔、面白かったな。あの後、怒られただろうな。ちょっと可愛そうな気もするけど。」
ガラガラ   「あの魚屋のおじさん、おかみさんに怒られていたけど、私、あのおじさん、好きだな。だって、どこか猫好きって感じよ。」
クタクタ   「猫は、自分を可愛がってくれる人間は、本能的にわかるんだ。だから、ガラガラの感覚は正しいかも知れない。」
チョビヒゲ  「おいらたち猫って、不思議だよね。昔は、山や野で人間とは関係なく暮らしていたって聞いたけど、今の猫は、人間に飼われていたり、野良猫でも、どこかで人間と関わりを持っているんだよね。」
クタクタ   「どうかな、まだ寝るには時間が早いし、今まで人間とどんな関わりをもって来たのが話をしてみないか?」
ガラガラ   「賛成!!それって面白そう、ねえみんな。」
猫たち    「やろう、やろう!」
ブン     「・・・・・・」

第四場  カイゾク達のはなし
     森の広場、一段高くなったところに舞台

クタクタ    「それじゃ、誰からやろうか。」
カイゾク    「おいらたちがトップバッターをやろう。さあ、チョビヒゲ、ボロボロ」
チョビヒゲ   「(舞台の上に乗って)どっこいしょと。さて、おいらたち三匹は、子猫の時、港の桟橋に捨てられていたんだ。」
ボロボロ    「霧がたちこめる桟橋は、それはそれは寒かったの。」
カイゾク    「三匹は、小さな体を寄せ合って、何とか生き延びようと頑張った。」
チョビヒゲ   「やがて大きな貨物船が、着いて、何人かの船乗りさんが桟橋に下りてきた。」
ボロボロ    「私たちを助けてくれたのは、大きな体の船乗りさんだった。」
カイゾク    「『やあ、こんばんは。私の名前はシェルドンです。よかったら、私と一緒に世界中を航海してみませんか?』ってあいさつしてくれた。」
ボロボロ    「それから、何年も私たちは船の中で過ごした。ハワイ、オーストラリア、ブラジル・・・日本にまで行ったのよ。」

歌・青い海の上で
     
     M6 青い海の上で
【ゆったりと】
♪船乗りさんと僕たち猫は
深い付き合いがあったのさ
猫は船のネズミを退治
港に着いた船に乗り込んで
荒波踊る七つの海を
船乗りさんと大冒険♪
(なんか、いいねえ。ロマンだねえ!)
♪青い青い海の上では
荒くれ者の船乗りさんも
猫にはとっても優しくて
夜は一緒にねんねして
昼間は甲板で遊んでくれて
毎日がとても楽しかった♪
(食べ物にも不自由しなかったんだろ)
♪それが、それが、ある日♪


チョビヒゲ  「とても幸せな時間が過ぎていったんだ。ところがね、船の甲板に灰色の雨が降る夜に、突然この幸せ
が終わってしまったんだよ。」
          カイゾク   「その夜、おいらたちはいつものようにシェルドンと一緒に寝ていた。」
                  舞台上には、シェルドンが寝ていて、その横に三匹の猫が寝ている。
                  遠くから、足音(軍靴)が近づいてくる

                  大きな閃光と爆発音 そして暗闇
          シェルドン  「魚雷だ。魚雷でこの船が攻撃された。みんな大丈夫か」
                  船のきしむ音
          シェルドン  「船が沈むぞ、何とかしなければ」
                   さらにきしむ音
          シェルドン   「甲板に出るんだ、早く!」
                   舞台に薄明かり、雨の甲板が光る。沈みかける船。
          シェルドン   「どうやら、私も年貢の納め時のようだ。できれば、もっと平和な時代に生まれて、大海原を君たちといっしょに航海したかった。なぜこんな目に遭うのか、理由はわからない。でも、君たちだけは助けてやるからな。」
                   シェルドン、船の上の木箱を持ち出し、猫を中に入れる。
                   そして、船から海の上に落とす。
          シェルドン   「絶対、生き残って、私の分まで生きるんだぞ!」
                   舞台は暗くなり、大きな爆発音、再び元の森の広場の舞台に戻る。
          カイゾク    「それから、何日がたったのかわからなかった。」
          チョビヒゲ   「砂浜に打ち寄せる波の音がしたんだ。」
          ボロボロ    「私たちは、本当に運良く流れ着いたの。」
          カイゾク    「それから、あちらこちらを流れ歩いて、ブンに出会ったのさ。」
          チョビヒゲ   「これでおいらたちのお話はおしまい。」
                   クタクタ、ガラガラ拍手
          クタクタ    「もう一度、シェルドンに会いたいかい?」
          ボロボロ    「会いた~い!でも、無理ね。」
          カイゾク    「次は、クタクタの話を聞こう。」
          クタクタ    「わかった、おいらの話聞いて泣くなよ!」
    

第五場  クタクタのはなし
     森の広場の舞台。

クタクタ    「えへん、なんか緊張しちゃうな。」
ガラガラ    「何、照れてるのよ。クタクタらしくないわよ。」
クタクタ    「そうだな、らしくないな。じゃ、始めるか。
おいらが生まれたのは、信じられないだろうが、戦場のど真ん中だった。」
          ボロボロ    「へえ、じゃ苦労したんだ。」
          クタクタ    「ここからずっと北の方角に大きな川があった。そこには長い橋がかかっていて、その橋をはさんで人間たちが戦争をしていたんだ。その橋の下でおいらは生まれた。その橋をめぐって、何ヶ月も戦いが行われ、たくさんの人間が死ぬのを見た。」
          ガラガラ    「さぞ、こわかったでしょうね。」
          クタクタ    「それが、不思議なことにちっともこわくはなかったんだ。ある大きな戦いがあった日、おいらはおかあさんとはぐれてしまった。」
          カイゾク    「そりゃ、悲しかっただろう?」
          クタクタ    「泣いて、探し回ったよ。でも見つからなかった。そのうち、気がつくと戦闘の真っ只中にまぎれこんでしまっていたんだ。一人の兵士が、おいらを見つけてリュックの中に放り込んでくれた。兵士の名前はベルナーって言ったかな。」
                   舞台は、暗くなって、やがて一人の兵士が現れる。
          ベルナー    「(クタクタに向かって)君は、どうしてこんなところにいるんだい。おかあさんとはぐれたのかな。僕も同じようなものだけど。それにしても、戦争ってやつはいやなもんだ。たくさんの人間が、いや人間だけじゃなく君たち猫だってそうだけど、理由もわからず死んでしまうんだからね。このまま戦争が長引けば、僕も多分、理由も知らないまま死んでいくんだろう。そりゃ、怖いしさみしいさ、でも逃げるのは許されない。だから、生きている間、もう少しの間、僕の友達でいてくれないか?そうだ、僕の生まれ故郷の歌を歌ってあげようか。君にも教えてあげよう。」

歌・ふるさとを思って
     
     【情感を込め】
♪目を閉じると、はっきりと浮かぶ
僕が生まれて、育った町が
潮のかおり、船の汽笛
かもめの羽音に灯台の明かり
市場に集まる町の人たち
もしも神様がいるのなら
お願いしたいふるさとに
戻れる日が来ることを♪

♪育ててくれた、大好きなおばあさん
今も元気に、いてくれるだろうか
腰は曲がって、目は悪く
耳も遠いし、真っ白な髪
毎日、猫と話してるだろか
もしもふるさとに帰れたら
大切に大切にするからね
たった一人の家族だから♪

          クタクタ    「にゃー!」
          ベルナー    「さあ、今夜はここで野宿しよう。ほらあんなにたくさんの星が話し掛けてきているよ。君のおかあさんも今ごろ、あの星を見ているよ、きっと。僕のおばあさんも・・・おやすみ。」
                   暗転 スポットライトでクタクタが浮かび上がる。
          クタクタ    「それから、ベルナーといっしょに何ヶ月もあちこちに行った。危険ばかり待ち受けていて、そりゃ楽な旅じゃなかったけれど、一緒にいることで何かベルナーの役に立っているような気がして、なぜか気持ちがあったかくなったんだ。でも、それもおしまいの日がきてしまった。あの灰色の雨が降る朝のことだった。」
                   雨音が続く、そして軍靴の音が近づいてくる。
                   突然、機関銃の音がして
          ベルナー    「あぶない!かくれろ!」
                   大きな爆発音
                  ベルナーが、クタクタをかばって倒れている。
          クタクタ    「にゃー」
          ベルナー    「・・・無事だったかい?君を救えて良かった。僕はだめかもしれない。僕は、なぜ死ななければならないんだろうね。やはり、わからない。でも、君がいてくれて良かった。君がいてくれたおかげで、僕は最後まで人間でいることができたんだから。ああ、もう目の前が暗くなってきた。リュックの中に食べ物があるから、それを食べて、それから南に向かうんだよ。平和がそこまできているはずだから・・・・(ベルナー息を引き取る)」
          クタクタ    「ベルナー!」
                   元の森の舞台に戻る
          クタクタ    「ベルナーが死んで、おいらは南に向かった。たくさんの人が死んでいた中を抜けて。南に、南にと。ベルナーの行ったとおり、平和がそこまで来ていたんだ。そして、ブンと出会ったのさ。これでお話は終わりだ。」                   
          ボロボロ    「エーン!すっごく悲しいお話ね。」
          クタクタ    「さあ、次はガラガラの番だよ。」


第六場  ガラガラのはなし
     森の舞台

ガラガラ   「(涙をふきながら)私、だめ。悲しく話すことなんかできないわ。」
チョビヒゲ  「さ、がんばって、ほら。」
ボロボロ   「(泣きながら)泣いてちゃだめよ。ほら、私だって笑ってるでしょ!(泣き笑い)」
ガラガラ   「クタクタの物語で、自分のことを思い出しちゃったの。思い出の中にあったことが急に、今さっき起こったかのような気がして。(再び、泣き出す。)」
クタクタ   「本当につらい事なんだね。でも、その悲しいことをみんなのものにしようよ。悲しみを分け合うのは、僕ら猫の得意技なんだから。わかった!ここで、ガラガラの得意なダンスを見せてよ。みんなも一緒に踊らないか?」
ガラガラ   「ダンス?こんな気持ちの時に、ダンスなんて無理よ。」
クタクタ   「ダンスとか歌は、うれしいときと悲しいときにやるもんさ。だから、大丈夫さ。」
ガラガラ   「わかった、やってみる。」
カイゾク   「その意気!その意気!」
ガラガラのダンス
     
     【ダンス音楽、猫の動きのダンス】
(さあ、お待ちかね。私のダンス、見てくれる?みんな手拍子!)


ボロボロ   「いっつも思うんだけど、ガラガラのダンスって上手よね。どこでおぼえたの?」
ガラガラ   「しかたないわね、話すわ、なぜ、ダンスが得意になったかを・・ね。
        私も、捨て猫だった。私が捨てられていたのは、北の寒い場所。みんなみんな凍ってしまう大地の上だった。でも、そんなこと覚えてはいないのよ。それは後から聞いたこと。私が覚えているのは、サーカスのピエロ。名前はポッポとピッピ、二人は子供のいない夫婦だっの。私は二人に拾われれてサーカスの中で育った。」
チョビヒゲ  「サーカスだって!あこがれていたんだ。ねえ、カイゾク。ニューヨークに行ったとき、二人で船を抜け出して、見に行ったよね。わくわくして、走ったこと、覚えてる?」
カイゾク   「もちろん、しっかり覚えているよ。心配して探しにきてくれた、シェルドンにものすごく怒られたよね。」
ガラガラ   「サーカスは、とても楽しかった。一ヶ月くらい、同じ町にいて、それからまた馬車にのって別の町に移るのよ。旅も面白かった!!」
ボロボロ   「旅って、素敵よね。だって、いろんな猫に出会えるし、自分が別の猫になることができるような気もするし・・・」
ガラガラ   「ポッポとピッピは、どこでも人気者だったの。そして、二人の踊りは最高だった。私も教わって、一緒に舞台にも出たわ。」
        暗転 二人のピエロが登場
歌・ピエロの踊り
     
     ♪いつの日からか、はっきりとは
おぼえてないけど自分の顔を
きれいだった世界に捨ててきた
顔の化粧は心まで
わからないように塗りつぶす
本当の顔はどんな顔
本当の心はどこ行った
ただ、ただ、顔に書かれた涙にだけは
どんな時でも嘘はなかった♪
【ここで明るいサーカス風の音楽に変わる】
(さあ、みなさん、お待ちかね。サーカスが始まるよ)
♪よく来てくれましたサーカスに
ライオン火くぐり、象の玉乗り
空中ブランコ、ナイフ投げ
いろんな出し物次から次へ
二人のピエロが案内します♪
(ピエロは、何かやらないのかって?
やりますよ、やりますよ、えっ?一輪車?
どうする?やってみる?)
【一輪車に乗ろうとして失敗、ごまかして踊る】
♪やがてその日がくるだろうと
覚悟はとっくにできてるけれど
本当の顔を思い出せたら
しまっておいた自分の心が
どこに行くのか恐ろしい
本当の顔はどんな顔
本当の心は・・・・・・・・
ただ、ただ、顔に書かれた涙の跡は
ずっとずっと消えないだろう♪




ガラガラ    「楽しかったサーカスの暮らしも終わりの日がやってきたの。灰色の雨が、雪の上に降っていた日」
         ポッポとピッピ、そしてガラガラが踊りの練習をやっていると
         遠くから軍靴の音、やがて大きくなってくる。
         【スローモーション】
         兵隊が二人、シルエットで近づいてくる(無言)
         逃げようとするポッポとピッピ
         兵隊、ポッポ、ピッピの腕をつかんで連れていく。
         手を、ガラガラに伸ばすポッポとピッピ
         やがて、足音だけが遠ざかっていく

ガラガラ    「私は、後を追いかけた。でも、ポッポ、ピッピは私を追い返そうと、足でけったりした。駅まで付いていった。ポッポの口が『逃げろ!』って動いたの。私が立ち止まった時、ピッピはすごくうれしそうな笑顔を見せた。でも、目は涙がきらきら光っていた。」
ボロボロ    「エーン、エーン、悲しいよお!」
        汽笛と汽車の音
ガラガラ    「・・・・・・・(かがみこんで泣く)」
         クタクタを慰める猫たち
        しばらくの沈黙

クタクタ   「(体を起こして)さあ、最後だ。ブンの話を聞こうじゃないか?」
カイゾク   「さあ、ブンにはどんな物語があるんだろう。楽しみだなあ!」
ボロボロ   「早く、聞かせてよ!ねえ、ブンったら!」

ブン     「こんなのくだらないよ。人間と関わったことの思い出話だなんて。だって、そんなこと話したって、お腹が膨れるのかい?おかしいね、ふん、笑っちゃうよね。そんなことより、明日の食べ物のことの方が、十倍も一億倍も重要さ。そんなに人間が懐かしいなら、いいんだぜ、悪猫団を出て行っても。そのほうが、こっちは気楽に過ごせるってもんだ。寝るよ、明日、早いからな。」
        ブン、どこかに行ってしまう。
ガラガラ   「あ、あ、あのブンが怒った。今まで、あんなに私たちにやさしかったブンが・・・(泣く)」
          クタクタ   「何かおかしいな、ブンは。いったいブンに何があったんだろうね。」


第七場  アトラスのはなし

        森の中の広場

アトラス   「やあ、やあ、悪猫団の諸君、あいかわらずおにぎやかなことで。今日もどろぼう稼業は大成功のようじゃな。」
クタクタ   「アトラスじいさん!いつも元気そうで。」
アトラス   「元気には元気なんだが、最近どうも夜、ねむれなくってな、もっとも、ミミズクが夜寝てたらおかしいか?うぉふぉふぉふぉ(笑う)
実はな、さっきからずっと、あの木の上で、お前さんたちの、悲しい物語を聞かせてもらっていたよ。、人間は本当に残酷な生き物なんじゃが、不思議なことに奇妙なやさしさも持ってる、やっかいなもんじゃなあ。お前さんたちは、そのことにうすうすとは気がついているのじゃろう?」
          ガラガラ   「そう、そうなの。あの何か暖かい気持ちが、今でも忘れることができないのよ。」
          アトラス   「私ら、ミミズクにとっては、人間と関わりあうことは、まずない。だから、お前さんたちのように悩むことはないだろうが、猫は大昔から少なからず人間と一緒に生活をしてきたから、どんな事態になってもお互いに無視はできないのじゃな。」
チョビヒゲ  「ブンが急に不機嫌になって、どっかに行っちゃたんだよ。なぜ、怒ったんだんだろうか?」
ボロボロ   「私たちが出会う前のブンは、どんなだったのかしら。」
カイゾク   「そうだよ、多分それだよ。ブンの生き方、それを知れば何かわかるかも知れない。」
クタクタ   「アトラスじいさん、じいさんはブンが生まれたころから、ブンのこと知っていたんだろう。ブンがどうして、あんなに人間との関わりあいを嫌うようになったのか、教えてくれないか?」
アトラス   「ブンは、お前さんたちみたいに大海原を航海したり、戦争にまきこまれたり、サーカスで踊ったりしたことはなかった。よし、ブンに代わって、ブンの物語を聞かせよう。」
カイゾク   「やはり、ブンにも何かあったんだ。」
アトラス   「まあまあ、わしの話を静かに聞いておくれ。聞き終わるころには、ブンの悲しみがよくわかるじゃろ。」
ガラガラ   「怖いわ、私。」
アトラス   「何年か前、もう正確には思い出せんが、長く長く灰色の雨が降り続いた年があったのじゃよ。そんな年にブンは生まれた。その頃は戦争の真っ最中で、人間の心はらせん階段のようにねじれておった。食べ物も着るものもなく、そして希望もなかった。ブンはやはり、捨て猫だったんじゃ。灰色の雨の中、ちっちゃな木箱にいれられてな。」
        暗転 
舞台には傘をさし、レインコート姿の人々が登場

   
   歌・灰色の雨の中で
     
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(思い出せない、空の色も街の明かりも)
(あのたくさんの色を最後に見たのは、いつだったのか?それすら思い出せない)
♪灰色の空の下、灰色の心が歩いてる
ときめいていた心はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(どこかで、動物の声が・・・)
(あれはたしか、そう子猫の声だ)
(でも、今の私たちには何も見えない)
♪灰色の空の下、灰色の雨が降る♪
(灰色の心には何も見えないのさ)
♪僕は猫、捨てられた子猫
灰色の毛並みのちっちゃな子猫
灰色の雨の中、誰も僕に気づかない
おなかも空いたしとっても寒い♪
(誰か、僕を拾ってよ)
(やはり、子猫の声がする)
(でも姿は見えない)
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
【やがて音楽は消え、軍隊の行進する音が響く、子猫の鳴き声がする】
     
アトラス   「灰色の雨の中に捨てられた灰色の子猫、ブンに気がつく人はおらんかった。ブンに声をかける人すらなかった。」
     木箱で泣くブン、人は去り、一匹の黒猫が近づく。
バサラ    「やあ、大将。無駄ってもんだぜ。もっと効率的にっていうか、効果的に行動しないとこの渡世は生きていけないぜ。・・・えっ、話が難しすぎるってか・・・なるほど。泣くなよ。泣くな。頼むから。ほら、なんでもしてあげるからさ。」
        
バサラ    「猫の逆立ち、見たくないか。」
        バサラ、逆立ちをする。ブン、泣く
バサラ    「・・・・面白くないってか?じゃ、こりゃどうだ。」
        バサラ、ガラスマイムをやる。ブン、さらに泣く
バサラ    「・・・これもだめかよ!これが最後だぞ。」
        バサラ、チャップリンの真似をする。ブン、悲鳴のような泣き声
バサラ    「もう、しらねえ。・・・腹が減ってきちゃったよ。いっしょに来るか?」
        ブン、首を横に振る。
バサラ    「そうか、そのくらいの根性がありゃ、大丈夫だ、生きていけるだろ。もし、どうしても困ったときには、俺を訪ねてくるんだぜ。じゃあな。」
        暗転
アトラス   「ブンは結局、人間には拾ってもらえなかったんじゃ。灰色の時代の、そして灰色の雨、その中の灰色の猫は、人間には見えるはずがなかろう。本当にあるものが、まったく見えなくなってしまうんじゃよ。」
カイゾク   「ふーん、そうなのか。ブンはそれからどうしたの?」
アトラス   「しかたなく、ブンは町外れの工場脇の空き地まで歩いていった。そこでブンは一人の人間の女の子に出会ったのじゃ。ジャンヌという名前で、一人でその空き地に住んでおった。」
クタクタ   「それじゃ、ブンは、ジャンヌと一緒に暮らし始めたんだね?」
アトラス   「そうじゃ、確かに食い物も少なく、いつもはらぺこではあったが、それでも二人は幸せじゃった。」
ボロボロ   「よかった!それで、それで?」
アトラス   「ブンは夜になると、この広場で行われる野良猫の集会に参加するようになっていて、ある夜の集会が終わったあと、空き地に戻ると、いつも起きて待っていてくれるジャンヌがいないことに気づいたのじゃ。ブンは、大声を上げてジャンヌを探した。工場の塀沿いを流れる水路の中で冷たくなったジャンヌを見つけたのは、もう東の空が明るくなるころじゃった。」
ガラガラ   「ジャンヌは病気だったの?」
アトラス   「そう、病気だった。その工場で捨てている薬で中毒を起こしたのじゃ。しかし、真相は明らかにされず、ジャンヌの病気は、猫が運ぶ伝染病ということで片付けられたんじゃよ。」
チョビヒゲ  「ずるいよ、そんなこと!」
クタクタ   「それじゃ、ブンは?」
アトラス   「そう、ブンだけじゃなく、野良猫全体が人間に追いまわされたんじゃ。つかまって、たくさんの猫が殺された。」
カイゾク   「だから、ブンは人間を信じることができなくなったのか?」
アトラス   「その後、ブンはあのバサラといっしょに、悪猫団を作って、何とか生き延びてきたというわけじゃよ。ただ、わしの思い過ごしかもしれんが、ブンの本当の気持ちは違うような気がするんじゃ。」
カイゾク   「と、言うと?」
アトラス   「本当は、人間に好かれたい。人間の役に立ちたいと思っているんじゃ。」
ボロボロ   「まさか、あのブンが?」
アトラス   「わしにゃあ、よく分かる。ブンの気持ちがな。ああ、長居しちまったわい。わしも、そろそろ食事が恋しくなったからの。それじゃ、またな。」
        アトラス、ばたばたと飛んでいく。
猫たち    「いってらっしゃーい、アトラスじいさん!」

第八場  明日、また

        森の中の広場

クタクタ   「ブンは、だから怒ったんじゃない、思い出したくなかったんだ。」
ガラガラ   「そうね、私たちだって悲しい思い出だけど、ブンはもっと辛かったのね。」
ボロボロ   「私たち、ブンに何かしてあげられないかしら。」
チョビヒゲ  「ううん、むずかしいな。」
カイゾク   「しっ!誰か来たぞ。あ、ブンだ。」
ブン     「(多少、決まり悪そうに)まだ、起きているのか。」
クタクタ   「もうそろそろ寝ようかなって思ってたところさ、な、みんな。」
猫たち    「(わざとらしく)あーあ、ほんと眠いなあ!」
ブン     「・・・・・」
クタクタ   「もう、お月様もあんなに動いちまった。お星様でも見ながら、おねんねするかい。」
ボロボロ   「賛成、もう私疲れて疲れて、ボロボロよ!」
クタクタ   「おいらも、クタクタよ!は、はははは、はあーあ」
ブン     「明日は、たまにはみんなで一緒じゃなくて、別々にすごそうと思うんだけど、どうかな?」
カイゾク   「おいら、大賛成!たまには、プライベートに冒険を楽しみたもーん、ね。」
【舞台、暗くなる ブンに薄明かり】

歌・明日
     
     ♪猫の明日は猫のもの
人間がいる限り僕たちは
平和な暮らしは望めないけど
猫の明日は猫が作る
人間の助けなんてくそくらえ
人間は信じない
人間と暮らさない
猫の明日は猫のもの♪
【ジャンヌが現われる】
(ブン、なぜそんなにこだわるの?私と一緒に暮らした日を忘れてしまったの?)
♪私はとっても幸せだった
あなたと過ごした短い時間
(うそだ、ジャンヌは人間に殺されたんじゃないか、僕は信じない、人間を)
♪そうね、でも、聞いてブン
人間のほとんどはいい人なのよ
たまたま悪い人がいたせいで
私はあなたと別れてしまった♪
ジャンヌ   ♪信じてあげて(もう一度、人間を)
ブン     信じられない(絶対に、許せない)
ジャンヌ   前を向くのよ(一緒に平和を守るの)
ブン    僕にはできない(怖いんだ)
ジャンヌ   勇気を出して
   きっといつかあなたに
   本当の幸せが来ることを
       ずっとずっと祈っています。
   【ジャンヌ、消える】
ブン    ジャンヌ!



十五分の休憩

第二幕
第一場  平和な市場 

町の市場。魚屋と果物屋がテント張りの店を出している。
おばあさんが市場に買い物に来て、みなに挨拶される。
   歌・平和な空の下
     
     【一幕一場と同じ音楽だが、多少静かに音楽は始まる】
(今日も市場はいい天気)
(ほら、おばあさん、これ買っておくれよ)
(安くなるかい?)
(私の笑顔だったら、ただでいいけどさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
売り物の数、少ないけれど
値段もそこそこ高いけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!このキャベツ、新鮮だろ)
(手袋なんか、どうだい、これから寒いよ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
一日、一日、よくなっていく
そんな気がする毎日さ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(おばあさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスさ)
♪一日、一日、よくなっていく
そんな気がする毎日さ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
     

ジェラール  「おばあさん、どうだい、今夜はちょっと贅沢してヒラメの・・・(ミレーニがジェラールの口をふさぐ)」
ミレーニ   「(店の奥にジェラールを引きずりこみ)ばかだね、あんたは。あのおばあさん、たった一人の孫が、戦争に行って、帰ってこないんだよ。死んだって言う人もいたよ。だから、今、一人で貧しく、貧しく暮らしているんだよ。」
ジェラール  「(店から出てきて)そうだったのか。大変だったな、おばあさん。何か持ってくか?」
おばあさん  「いいんだよ、気を使わなくても。ありがとう。そこで花を一輪、もらったので十分だよ。今日は、小麦粉を買いに来たんだよ、パンを焼かなくっちゃならないからね。」
ミレーニ   「小麦粉だったら、その先の角を曲がったところで売ってるからね。」
       隣の果物屋のルアーナと古着屋のイザベルが顔を出す。
イザベル   「おばあさん、困ったら、おいでよ。」
ルアーナ   「そうだよ、この町じゃ、みんな戦争の被害者なんだからね。遠慮すんじゃないよ。」
おばあさん  「ありがとさん、でもね、まだまだ頑張ってみるからね。それじゃさようなら」
(おばあさん、カタカタはける)        


第二場  おばあさんの思い出

貧しいおばあさんの家、ねこと一緒におばあさんが幸せそうに暮らしている。
暖炉がある。その上には、若者の写真。

歌・幸せな日々
     
     ♪人はこんな私のことを
一人暮らしのおばあさんとして
とても心配し親切に
声をかけてくれるけど
どうか心配しませんように
私は少しもさみしくない
だってみんながいてくれる♪
(どうしたの、お前、鼻乾いていないかね)
(足、どうかしたの?ほら、ケガしてるじゃないの)
♪猫はとっても気ままに生きる
一人暮らしのおばあさんにとって
気ままに生きる猫は
お話し相手にちょうどよく
心がとっても落ち着くの
喧嘩はしない仲よくね
だってみんな家族でしょ♪
(お前たち、長生きするんだよ、きっと今にいいことがあるからね)
♪いつまでも続いてほしいこの幸せの日々
いつまでも続いてほしいこの幸せの日々

おばあさん  「お前たちは、本当によい子ばかりで、私はとっても幸せだよ。貧しい生活で、そんなにおいしいものをお前たちに食べさせることができないのは、すまないとおもうけれど、いつまでもそばにいてほしいと思っているんだよ。」
       暗転
おばあさん  「ああ、また夢を見てしまったようだね。あの猫たちはいったいどこにいっちまったんだろうね?毎日が気が抜けてしまったようで、なんとも味気ないねえ。夜、寝るとき、いっそ明日の朝が来なけりゃいい・・・だなんて思ったりして。そんな夜が明けて、朝になると、また、長い一日が始まるたびに、大きなため息が出ちまうんだねえ。どうしているのかねえ、あの子達は」



第三場  忍び込んだ猫

おばあさんの家

ブン     「なんとも、無用心なうちじゃないか、これじゃ泥棒猫がはいっちゃいますよ!入りますよ!ほら、入っちゃった・・・・けど、ひどいね、こりゃ貧しいね、質素だね。狭いね、これじゃ猫の額に負けちゃいますよ。見てくださいよ、このカーテン、このつぎはぎはまるでパッチワークだよ。」
       ブン、あたりを物色する。テーブルの上に食べ物を見つける。
ブン     「さて、ま、どんなに貧しくても、少しぐらい食い物はあるだろう。(カチンカチンになったフランスパンを見つけて)うん?これが人間の食べるものかね?このキャベツなんぞは、ほら、乾いちゃってるよ。コンクリートが置いてあるよ、ん、こりゃチーズだよ。こんなのかじったら、三年間は消化されないね。」
        ブン、テーブルの上のスプーンを床に落としてしまう。
おばあさんの声「誰か、いるのかい?」
        ブン、あわてる。逃げ場所を探す。台所の隅においてあった、袋の中に飛び込む。
あばあさん  「(部屋に入ってきて)おや、おかしいわね、誰もいない。気のせいだったのかねえ。」
        袋ががさがさするのに気づいて
おばあさん  「この小麦粉の袋があやしいね、さあて、お客様はどなたでしょうかねえ?」
        袋からブンを引き出す。ブン、白く変身している。
おばあさん  「おや、お前はシロじゃないか。いったいどこに行っていたんだい。この三年間、私がどんなに寂しい思いをしたことか。でも、よく帰ってきてくれたね。あの夢は、お前が帰ってくるしらせだったんだねえ、何かいいことが起きるような予感がしていたんだよ。それにしてもうれしいねえ、これでまた私にも生きる楽しみがもどってきたようだよ。」
        ブン、抱きしめられるが、手を振って否定する。
おばあさん  「シロや、おなかが空いただろ、私の夕食のおかず、焼き魚をお食べ。私の分?いいや、私はいいんだよ。お前が帰ってきてくれたことで、もう胸がいっぱいだから。」
        ブン、食事をする。

歌・猫が帰ってきた
     
     ♪シロが帰ってきた、私のもとに帰ってきた
ずいぶんたくましくなったけど
間違いもなくあのシロだ
お前がいなくなったあの日から
どんなにさみしく思ったか
いったいどこにいたんだろう
きっと苦労をしたんだね♪
(ほかの猫はどうしたのかね、一緒じゃなかったのかね)
♪シロが帰ってきた、私の家に帰ってきた
毛の色も少し変わったけれど
間違いなくあのシロだ
毎日あちこち探したけれど
見つけることはできなくて
あきらめかけていたとこに
シロは帰ってきてくれた

猫が猫が帰ってきた
さみしいさみしいこの家に
猫が猫が帰ってきた
やっとやっと帰ってきた♪


おばあさん  「さて、それじゃ、今夜は久しぶりに一緒に寝ようかね?甘えん坊で、いつも私のベッドにもぐりこんできたからねえ。」
     ベッドに入るおばあさんとブン
おばあさん  「あったかだねえ・・・むにょむにょ・・・あの歌が上手だった、しましまの猫にもあいたいねえ!」
     ブン、ベッドから起きて
ブン     「うーん、この家には、しましまの猫もいたのか。それにしても、なんだろう、このあったかさは。このおばあさんといっしょにいると、冬の日のひなたぼっこをしてるみたいだ。」



第四場  ブンのたくらみ

森の広場 夜

    猫たちが集まっていて、今日のいろいろな冒険について話をしている。

猫たちの笑い声
          ボロボロ   「それで、どのくらい、そこに座っていたのよ?」
          カイゾク   「三十分くらいかな?ほんと、誰も気がつかないんだ。」
              ブンが帰ってくる。
          ブン     「カイゾクは、何をやったんだい?」
          クタクタ   「それが、おかしいのよ。銀行のカウンタの上に乗って、招き猫のまねしていたのよ。」
          カイゾク   「ときどき、あげる手をかえたりしたんだけど、お客も行員も全然、気がつかないんだぜ。」
          ボロボロ   「それから、どうしたのよ。」
          カイゾク   「おそうじをするおばさんが来て、カウンタを拭き始めたんだよ。それで、おいらをつかんで横によけようとしたんだ。そのときのおばさんの顔、想像できる?だってさ、固いと思ってつかんだ猫が、本物のねこで、むにゅっとしていたんだぜ。」
          猫たち    「ひぇー、(大笑い)」
          カイゾク   「銀行は、もう大騒ぎよ。防犯ベルが鳴っておまわりさんは来るし、たくさんのやじうまが来るしさ。」
          クタクタ   「(元気のないブンを見て)どうかしたのか、ブン。何か、あったのかい?」
          ブン     「いや、あ、そうだ。クタクタは歌が得意だったよね?」
          クタクタ   「ああ、子猫のころ、毎晩歌っていたからな。でも、なぜそんなこと聞くんだ?」
          ブン     「実は、今日ちょっと、おもしろいばあさんと出会っちまって、おいらのことを昔飼っていた猫と間違えてさ。おいらも、たいくつしてたから、その猫になりすまして、付き合ってやったのさ。その家には歌のうまいしましま猫もいたって言ってたから、あした、おいらといっしょに行って、もうちょっとだましてやろうと思うんだ。」
          クタクタ   「ふーん、面白そうだな。いいよ、一緒に行ってあげる。」
          ブン     「じゃ、明日。ちょっと疲れたから、先に寝るよ。」
                  ブン、寝てしまう。
          ガラガラ   「ねえ、ねえ、どういうこと?ブンが人間をからかうなんて。どういう風の吹き回しかしら。」
          クタクタ   「ブンの心の中で、何かが起き始めているんだろうね。ブンにとっては悪いことではなさそうだから、みんなで協力してあげよう。」


第五場  歌う猫

おばあさんの家

        ブン、クタクタを連れておばあさんの家に入る。
ブン     「ここが、あのばあさんの家だ。なっ!しけた家だろ?」
クタクタ   「でもね、何かとってもなつかしい気がする家じゃないか。」
ブン     「さて、早速準備をしなくっちゃ。」
        ブン、小麦粉の袋に飛び込もうとする。
クタクタ   「なるほどね、それで間違えたんだね。」
ブン     「そろそろ、ばあさんが現れるころだ。さあ、クタクタ、位置について!」
       クタクタ、気取ってポーズをとる。
ブン     「何、やってんの?ほら、いつもどおり、自然に、自然に!」
        おばあさんが入ってくる気配
ブン     「ほーら、来たぞ!」
おばあさん  「おや、シロ!帰っていたのかい。朝起きたら、いなかったから、また出ていっちゃったんじゃないかと心配していたんだよ。」
        そばにいるクタクタに気づいて
おばあさん  「あれー!そこにいるのは、歌の上手なシマシマじゃないか!お前も帰ってきてくれたのかい。ああ、そうかい、シロ、お前が連れてきてくれたんだねえ。ありがとうよ、シロ。さっそく、シマシマのあの自慢の歌を聴かせておくれ。」
       ブン、クタクタ、少し離れて相談する。
クタクタ   「いつもの、あれで良いか。ちょっと寂しくないかな。」
ブン     「構うもんか、何でも良いのさ。」
クタクタ   「よーし、いっちょやったるか!」

歌・ふるさとを思って
     
          【情感を込め】
♪目を閉じると、はっきりと浮かぶ
僕が生まれて、育った町が
潮のかおり、船の汽笛
かもめの羽音に灯台の明かり
市場に集まる町の人たち
もしも神様がいるのなら
お願いしたいふるさとに
戻れる日が来ることを♪

♪育ててくれた、大好きなおばあさん
今も元気に、いてくれるだろうか
腰は曲がって、目は悪く
耳も遠いし、真っ白な髪
毎日、猫と話してるだろか
もしもふるさとに帰れたら
大切に大切にするからね
たった一人の家族だから♪

        おばあさん、拍手
おばあさん   「昔とおんなじ、いい声だねえ。(暖炉の上の写真を見ながら)ねえ、ベルナー、お前もそう思うだろう?」
猫たち、顔を見合わせて、何やら反応する。
おばあさん   「そう言えばあのダンスの上手なミケたちはどうしたのかねえ。あの子の踊りも見れたらいいねえ。」
        猫たち、再び顔を見合わせる。
クタクタ    「さて、ブン!どうする?」
ブン      「ダンスの上手なミケたち?確か、悪猫団にもいたよな!」
          暗転
舞台袖で、相談する、ブンとクタクタ、それにガラガラたち。

第六場  猫踊る

おばあさんの家
      おばあさんを前にして、猫たちのダンス

踊り歌・猫のダンス
     
     【ガラガラのダンス曲と同じダンス音楽、猫の動きのダンス】
(さあ、お待ちかね。私のダンス、見てくれる?みんな手拍子!)


     

おばあさん   「まあ、なんと、みんな帰ってきてくれたんだねえ。楽しいねえ。1,2,3,4,5,6・・・一匹足りないねえ。誰がいないのかね。そうだ!あの黒猫のクロが見当たらないじゃないか。これで、あのクロが戻ってきてくれたら、私しゃ、思い残すことはないんだがねえ。」
         おばあさん、出て行く。猫たち、残って相談
ブン      「バサラが生きてりゃ、何の問題もなかったんだがなあ!(みんなを見て)もう在庫はないしなあ。」
クタクタ    「いい方法があるよ。ブン、ほらあそこに暖炉があるだろ。暖炉には何がある?」
チョビヒゲ   「真っ赤な炎!」
クタクタ    「違うよ、真っ赤な炎が燃えたあとには、何が残る。」
カイゾク    「真っ黒な炭が残る。ああ、そうか、誰かがその炭を塗って、クロになりゃあいいんだ。」
ブン      「いったい、誰が、黒猫に?」
猫たちいっせいに、ブンを指差す。
ブン      「わかったよ。やればいいんだろ、やれば。」
         ブン、暖炉に飛び込む。出てくると、黒猫に変身。
ブン      「どうだい、これで。」
         おばあさん、入ってくる。
おばあさん   「これは、どうしたことだい。クロまでもどってきてるじゃないか。うれしいじゃないか。これで昔とまったくおんなじだね。おや、クロが戻ってきたと思ったら、今度はシロがいないね。シロ、シロや!」
         ブン、慌てて小麦粉の袋に、そしてシロに変身
おばあさん   「シロ、どこに行っていたんだい。ほら、お前の大の仲良しだったクロが・・・あれ、今度はクロがいないよ、クロ、クロや!」
         ブン、再び慌てて暖炉の中に、そして黒猫に変身して、よたついて出てくる。
おばあさん   「そんなところにいたのかい、ほら、お前の大好きなシロだよ、あれー?また、いないよ。シロ、シロや!」
          ブン慌てて暖炉に行こうとして、間違いに気づき、小麦粉の袋に向かう。
おばあさん   「まあ、いいよ。シロはどこかに隠れているんだろう。あれは、はずかしがりやだったからねえ。」
         おばあさん、出て行く。猫が残る。
ブン      「今、おいらはシロかい、それともクロかい。自分が何色しているか、わかんなくなっちゃうよ。」

第七場  聞き込み調査

おばあさんの家
(ドアのノックの音)
おばあさん  「おや、誰かね。珍しいね、この家にお客様かね。(ドアに近づき)どなだですか?」
ベルナール  「こちら悪猫団対策本部からまいりました。少しお聞きしたいことがありまして。」
(家の猫たち、その声を聞き、すばやく隠れる)
(おばあさん、ドアを開ける。ベルナール、フレデリク、犬二匹が入ってくる)
ベルナール  「私は悪猫団対策本部の本部長、ベルナールです。」
おばあさん  「それで、ご用件は?」
フレデリク  「私共は町の市場で盗みを働く、悪猫団たる猫たちを探しております。」

歌・悪猫団対策本部の歌
     
     【コミカルに、リズムよく】
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪
(我々は、悪猫団対策本部から参りました)
♪ようやく平和になったのに
どろぼう猫が現われて
苦情殺到、みんなに怒られ
大の大人がのら猫退治♪
(それは、それは、ご苦労様)
(ありがとうございます、頑張ってます・・・)
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
ここかと思えばまたあちら
悪猫団はずるがしく
なかなかなかなか、つかまえられない
今日も時間がむなしく過ぎる
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪

ベルナール  「まさかと思いますが、お宅で悪猫団をかくまっているようなことは?」
おばあさん  「猫は一緒に暮らしていますよ、ほら!あら?どこに行っちゃったのかしら?でもうちの猫はずいぶん昔から暮らしていて、とてもお行儀のいい優しい子たちですよ。」
ベルナール  「そうですか、わかりました。もし悪猫団を見つけたら、すぐご連絡をお願いします。」
       (悪猫団対策本部、ドアを出ていく)
(猫たち現われる)
おばあさん  「お前たち、どこに行ってたんだい。またどこかに行ってしまったんじゃないかと心配しましたよ。」

第八場  うそのばれる日

おばあさんの家

歌・幸せな日々
     
     ♪人はこんな私のことを
一人暮らしのおばあさんとして
とても心配し親切に
声をかけてくれるけど
どうか心配しませんように
私は少しもさみしくない
だってみんながいてくれる♪
(どうしたの、涙っぽくないかね)
(ほら、そんなとこにゴミをつけて)
♪猫はとっても気ままに生きる
一人暮らしのおばあさんにとって
気ままに生きる猫は
お話し相手にちょうどよく
心がとっても落ち着くの
喧嘩はしない仲よくね
だってみんな家族でしょ♪
(お前たち、長生きするんだよ、きっと今にいいことがあるからね)
♪いつまでも続いてほしいこの幸せの日々
いつまでも続いてほしいこの幸せの日々♪

ガラガラ   「ねえ、クタクタ、最近ブンの顔、変わったと思わない?」
クタクタ   「そういえば、顔が白になったり、黒になったり・・・今は、おお、白だよ。」
ガラガラ   「そうじゃなくって、何かおだやかなっていうか、特に目が変わったのよ。」
ブン     「よせやい!おいらはまったく同じさ。なにも変わってはいないさ。」
クタクタ   「それじゃ、まだブンは、おばあさんをからかっているつもりかい?それにしては、ずいぶん熱心にやってるようだけど・・・ねえ、みんな!」
ブン     「正直に言うけど、みんな怒らないかい?」
カイゾク   「何だよ、ブンらしくないぜ。ブンがなに言っても俺たちが怒るわけないじゃないか。」
ブン     「最初はさ、ほんと、からかうつもりだったんだよ。でも、おばあさんといっしょにいると、どこか心がほんわかしちゃってさ。だって、いっしょにいると、おばあさんだって元気が出るようだし。」
クタクタ   「実はね、俺たち最初からブンの気持ち、わかっていたんだ。」
チョビヒゲ  「ブン!ブンの思うように!かまわないから、ねっ!」
ブン     「ありがとう!みんな!」
        おばあさんの声
おばあさん  「クロや、クロ!」
ブン     「今、何色?」
猫たち    「白!」
ブン     「それじゃあ、暖炉だあ!えーい!」
クタクタ   「ま、待て、暖炉にはまだ火が・・」
        ブン、暖炉に飛び込んで
ブン     「えっ、火って?・・・もう、遅いよ!・・・か、か、火事だあー!」
        ブン、煙を出しながら暖炉から飛び出してくる。おばあさん、騒ぎを聞きつけてかけつける。
おばあさん  「これはえらいこと!クロが燃えているよ。クロ、お待ちなよ。いま火を消してあげるから・・」
        おばあさん、バケツに水を汲んできて、ブンにかける。火が消え、おばあさんの目の前に灰色の猫が現れる。
おばあさん  「火傷は、けがはないかい、クロ!ん?お前は、クロじゃないね。これはいったいどういうことかしら。」  
        おばあさん、しばらく考えて真相に気づく。
おばあさん  「そうかい、そうかい、お前たちはこの寂しい私のことを思って、昔飼っていた猫になりすましていてくれたんだね。やさしい子達だねえ。いいんだよ、出て行かなくて、お前たちは今日から私の大事な猫だよ。」
猫たち    「にゃー!」

第七場  市場でのお買い物

町の市場

ミレーニ   「お前さん、あれから一ヶ月もたつけど悪猫団の連中、来ないねえ。あんまり警戒が厳しくなったので、町をでていったのかねえ?」
ジェラール  「なんか寂しくないか、あいつらが店に盗みに来てたころはよ、何か生活にメリハリがあったっていうか、充実していたっていうか・・・」
ミレーニ   「お前さん、馬鹿言うんじゃないよ!でも、みんなとの話題も少なくなっちまったし、ちょっとは寂しいかな、ははははは(笑い)」
        ベルナールとフレデリクが犬を連れて登場
フレデリク  「本部長、それにしても暇ですね。悪猫団が一向に現れませんが、いったいどうしちゃったんでしょうか。」
ベルナール  「君も、二十年に一度は、いい質問をするね。私らが毎日、こうして警戒する効果が表れた・・・ということしか、理由はかんがえらないじゃあないか、フレデリク君。」
フレデリク  「じゃあ、私も念願の税務課に転属ができるのでしょうか?」
ベルナール  「ああ、そして私も動物園園長への道が開けるのだ。」
フレデリク  「動物園園長?」
ベルナール  「そうだ、私の子供のころからの夢だ。実は私は動物が大好きなのだ。」
フレデリク  「ああ、それで、とどのような奥様を・・・」
ベルナール  「とど?ありゃ、水族館にしかおらんぞ。ま、いいか。」
        ベルナール、市場の人たちに声をかける。
ベルナール  「みなさーん、悪猫団対策本部のベルナールでーす。悪猫団は私たち対策本部の日夜にわたる警戒におそれをなして、もう二度と現れないでしょう。あの日、私がお約束したことを覚えていますか。ほら、魚屋のおじさん!覚えてますか?そして、あなたが何て言ったかも覚えていますか?」
ジェラール  「悪猫団対策本部の大船は、藁の船・・・いや、藁の船も、しっかり作れば沈まないってことで・・・」
イザベル   「ともかく、悪猫団はいなくなっんだしい、いいじゃないか、もうそんなことはさあ。」
ルアーナ   「そうともさ、私たちも安心して商売できるし、あんたたちだって、もっと楽しい仕事につけるんじゃないか?わんちゃんたちも、うれしいだろ?」
パオン、ピラト「わん!」

歌・平和な空の下
     
     長かった戦争もようやく終わった)
(生きるためには、とにかく食べ物)
(それに着るもの!)
(市場が元気を出せば、みんなも頑張れるさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
つらい思い出、心の傷は
簡単に消えはしないけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!うまい魚が入ったよ)
(この帽子、みてごらんよ!おしゃれだろ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(そこのおねえさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスするよ)
♪昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪

     歌と踊りの途中で、おばあさんと猫たちが登場し、いつの間にか猫たちも踊りに加わる。
     犬たちが猫に気づいて、フレデリクに知らせる。
フレデリク 「本部長、本部長、あれは悪猫団に似ていますが・・・」
ベルナール 「まさか!そういえば、あの灰色猫のふてぶてしさ、どっかでお目にかかったような・・・」
ミレーニ  「ほら、あの悪猫団よ。はやく捕まえなさいよ。」
ベルナール 「フレデリク!一網打尽にするのだ!」
       フレデリク、犬をけしかけて猫を捕らえようとする。
おばあさん 「お待ちなさい!あなたがたは私の可愛い猫たちをどうするつもりなんですか?」
ベルナール 「失礼ですが、この猫たちはあなたの飼い猫ですか?悪猫団の猫ではないのですか?」
おばあさん 「悪猫団?そりゃいったい何者でしょうか?この猫たちは私が五年も前から、家族として一緒に暮らしているのですよ。その猫たちをどうするおつもりなのでしょうか?」
ベルナール 「どう見ても、この猫たちはあの悪猫団ですよ。」
フレデリク 「そうですよ、本部長。この猫(ブン)のこの毛並み、絶対間違いありませんからね。」
(パオン、ピラト、猫たちのにおいをかぎ、首をかしげる)
パオン   「どうだ?悪猫団か?」
ピラト   「ごめん、ブタクサの鼻アレルギーで、においがわからない」
ミレーニ  「本部長さん、このおばあさんのこと、ずっと前から知っているよ。」
ジェラール 「そうだよ、いつもたくさんの猫連れてきたから、この猫たちじゃないよ、悪猫団は」
イザベル  「だってもう一か月も悪猫団は現われないじゃないか?」
ルアーナ  「きっとどこかの町に行ったんだろうよ、悪猫団対策本部が怖くてさ」
ベルナール 「いや、あまりに似ているものですから、つい。」
ミレーニ  「みてごらん、悪猫団より、ちょっとは上品な顔をしているでしょうが・・」
ベルナール 「申し訳ありません。どうやら、人、いや猫違いだったようです。どうぞ、お買い物をお続けください。」
       クタクタが魚を盗もうとするが、ブンがそれを止める。市場ににわか雨が降り始める。
おばあさん 「おや、にわか雨だね。すぐやみそうだけど、雨があがるまで魚屋さんのテントに入らせていただきましょうか。いいわね、魚屋さん!」


第八場  虹の空(フィナーレ) 

町の市場

おばあさん  「ほら、もう雨があがったようだね。あんなに真っ青な青空、久しぶりに見ましたよ。」
ミレーニ   「虹よ、虹が出てる。お前さん、ほら早く、ごらんよ。」
ジェラール  「おお、空を見上げることすら忘れていたような気がする。世の中にはこんないいもんも、あったんだなあ。さあ、猫ちゃんたちも見てごらん。」

歌・虹を思い出して
     
      ♪灰色の雨あがりにはいつも
本当は虹が光っていたはず
灰色がおおう時代には
誰も虹を見つけられなかった
本当のことと同じように
灰色の時にもきれいな虹は
広がっていたはずさ
今、平和な時が来て
人はみな空を見上げる
そして虹を思い出す

     灰色の心の中にも
本当は虹が残っているさ
見えないものとあきらめて
忘れてしまっていただけさ
本当のことを言えなかったけど
灰色の時にも正しいものは
心の底にあったはず
今、平和な時が来て
人はみな空を見上げる
そして虹を思い出す

さあ、これからはしっかりと
心の中の虹のこと
忘れず見つめて話そうよ
あの灰色のあの時を再び
迎えることがないように
いつも虹を思い出そう
いつも虹を思い出そう♪

終演
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  1. 2016/08/24(水) 10:41:31|
  2. BUNのものがたり
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

三毛猫ファジー

Author:三毛猫ファジー
いつの間にか、脚本を書いていた。
自分で書いていながら、登場人物の名前を覚えていられないので、いつも困っている。(演出が)
ミュージカルの終はハッピーエンドが最高。しかも単純なストーリーで。
役者は、いつも文句ばかり、「長台詞が多すぎる!」・・・一応、ミュージカルですが・・・

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