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ミュージカルの脚本でも書いてみるか!

過去、依頼されて書いたミュージカルの脚本です。

BUNの物語

「BUNの物語」

登場人物等
人間
おばあさん       一人で貧しく生活をしているやさしいおばあさん。
ベルナー(兵士)    
ポッポ(ピエロ 男)
ピッピ(ピエロ 女)
シェルドン(船乗り)
ジャンヌ(空き地の少女)
ミレーニ(市場の魚屋の女)
ジェラール(市場の魚屋の男)
ルアーナ(市場の果物屋の女)
イザベル(市場の古着屋の女)
フォルジェ(市場の女)
ベルナール(悪猫団対策本部長)
フレデリク(悪猫団対策担当官)


ブン(灰色猫 雄)     「悪猫団」の親分 子猫の時捨てられてから人間をひどく恨んでいる。
クタクタ(しましま猫、雄) 「悪猫団」子分。戦場で生まれて、兵士に育てられた。
ガラガラ(三毛猫、雌)   「悪猫団」子分。劇場の楽屋で生まれて、旅回りの役者に育てられた。
カイゾク(黄色猫、雄)   「悪猫団」子分。チョビヒゲ、ボロボロとともに船乗りに育てられた。
チョビヒゲ(青猫、雄)   「悪猫団」子分。
ボロボロ(ピンク猫、雌)  「悪猫団」子分。
バサラ(黒猫、雄)     捨て猫のブンを育てた、「悪猫団」の前親分

パオン(ヨークシャーテリア、雄) 「悪猫団対策本部」おかかえの犬。天然ボケ犬。
ピラト(セントバーナード、雌)  「悪猫団対策本部」おかかえの犬。パオンに好意を持っている。
ミミズク
アトラス(雄 年寄り)    ブンたちをずっと見守っている。空き地の大きな楓の樹に巣を作っている。    

音楽
灰色の雨の中で
平和な空の下
悪猫団対策本部の歌
作戦会議の歌
猫のお食事
青い海の上で
ふるさとを思って
ガラガラのダンス
ピエロの踊り
灰色の雨の中で
明日

平和な空の下
幸せな日々
猫が帰ってきた
ふるさとを思って
猫のダンス
幸せな日々
悪猫団対策本部の歌
平和な空の下
虹を思い出して

あらすじ
第二次世界大戦が終わりかけた頃のヨーロッパのある港町。戦争に疲れて、町を歩く人たちの足取りは重い。空からは灰色の雨が落ちてきている。人々は相変わらず、無口に通り過ぎる。そんな街角の路地の前に、小さな木箱が置いてあって、中からかすかな、子猫の鳴き声がする。灰色の小さな子猫が、灰色の雨に濡れながら、必死に鳴いている。立ち止まる人はあっても、誰もその子猫を拾おうとはしなかった。
 それから、数年の時が経ち、戦争も終わって、港町は活気にあふれていた。町には、「悪猫団」という「どろぼう猫の集団が出没していて町中がこのうわさであふれかえっていた。町には「悪猫団対策本部」までできて、この「悪猫団」を捕獲しようと必死になっていたが、「悪猫団」の親分、ブンがなかなかずる賢く、いつも逃げられてしまっていた。
 夕方の市場、今日も「悪猫団」が獲物を狙っている。市場には、「対策本部」の本部長以下、おかかえの犬たちも警戒のため来ている。ブンは、おとりの猫を使って、まんまと市場から今夜の夕食を手に入れてしまう。後には、犬たちを叱る本部長、そして本部長を叱る市場の女。
 場所は町外れの森にある小さな広場。今日のかせぎを分配するため、「悪猫団」の集団が集まってきている。分け前のことでもめごとを起こす猫もいて、広場は険悪な雰囲気が漂っている。そこにブンが登場して、猫たちを一喝し、騒ぎは収まる。お腹も膨れて、猫達は丸く輪になって、世間話を始める。やがて、話は人間のことになり、それぞれの猫が人間をどう思うのか話し始める。船乗りに拾われた猫は、嵐で遭難したときに、自分たちを助けてくれた船員の話をし、戦場で生まれた猫は、自分をかばって負傷した兵士のことを、また、サーカスの楽屋で産まれた猫は、育ててくれたピエロの夫婦について思い出を語り、それぞれが本当は人間が好きで、人間と仲良くしたいと思っていることを話す。ブンは、このような思いではなく、だんだん腹が立ってきて、捨て台詞を残し、広場の隅で寝てしまう。普段は冷静なブンがはげしく怒ったので、話をしていた猫たちは動揺をかくせない。話をずっと、木の上で聞いていた、ミミズクの「アトラス」が猫達に話し掛ける。なぜブンがあのように人間を嫌うのかを、そして本当は人間に甘えたがっていることを。
 それから、何日かして、ブンは一人で、ある貧しそうな家に盗みに入るが、案の定、めぼしいものはない。突然、人の気配がしてブンはあわてて、近くにあった袋の中に飛び込む。部屋に一人のおばあさんが入ってきて、そろそろと動き出す袋を見つけ、中からブンを引きずり出す。その袋には小麦粉が入っていて、ブンの毛にその小麦粉がついて灰色のブンは、真っ白。ブンは観念をするが、おばあさんは意外にも大喜び。昔飼っていた「シロ」という白い猫が帰ってきたものと勘違い。そして、歌のうまいしましま猫にも会って、歌を聞きたいとブンに話す。その夜、ブンはしましま猫の「クタクタ」に、おばあさんをだましに行こうと誘う。「クタクタ」は見事に、おばあさんに歌を聞かせ、おばあさんはまたまた大喜び。そして、踊りのうまい三毛猫にも会って、踊りを見たいと言う。ブンは同じように、三毛猫の「ガラガラ」を呼出して、誘う。「ガラガラ」も何とか、おばあさんに踊りを披露し、おばあさんを喜ばせる。おばあさんはさらに、おしゃれな三匹の猫にも会いたいと言い、ブンは「カイゾク」、「チョビヒゲ」「ボロボロ」を誘う。おめかしした三匹を見て、おばあさんは大喜び。ブンもやれやれと一安心・・・ところがおばあさんはさらに、もう一匹黒猫の「クロ」にも会いたいと言い出す。ブンを育てた「バサラ」は黒猫ではあるが、1年前に死んでしまっている。困ったブンは、自分がシロとクロの二役をこなすことを決意する。「シロ」になる時は小麦粉の袋に飛び込み、「クロ」になる時は、暖炉の燃えカスの炭の中に飛び込むことで、この問題を解決することとしたのだが、おばあさん、「シロや」と呼んだり、すぐに「クロや」と呼んだりするものだから、ブンはその日から大忙し。
とうとう、ばれる日がやってくる。ある朝、「クロや」と呼ばれたブンが暖炉に飛び込んだ時、暖炉にはかすかに火種が残っていて、ブンの毛に火が燃え移ってブンは大騒ぎ。その声に驚いたおばあさんが駆けつけ、あわてて水をブンにかける。火が消えた後に残る灰色の猫を見つめて、おばあさんはすべてを理解する。そして、もう猫達がみんな自分の飼い猫だと告げる。ある日、市場に買い物に行くおばあさん、そしてその後ろを付いて歩くブンたち。いぶかしげに見つめる市場の女たち、そしてあの犬。対策本部のベルナールたちが近づいて、猫たちが「悪猫団」であることを告げるが、おばあさんは自分の飼い猫だと言い張る。つい、くせで魚屋の魚を盗もうとする、「クタクタ」を必死に止めるブン。猫達はお行儀良く、おばあさんの買い物が終わるのを待つ。市場ににわか雨が降り、やがてそれが止むと、空には虹が出ている。
第一幕
オープニング
   舞台には傘をさし、レインコート姿の人々が登場

   
   音楽・灰色の雨の中で(インスツルメント)
     
     明るい音楽から始まり、やがて変調し暗い音楽へと変わる】
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(思い出せない、空の色も街の明かりも)
(あのたくさんの色を最後に見たのは、いつだったのか?それすら思い出せない)
♪灰色の空の下、灰色の心が歩いてる
ときめいていた心はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(どこかで、動物の声が・・・)
(あれはたしか、そう子猫の声だ)
(でも、今の私たちには何も見えない)
♪灰色の空の下、灰色の雨が降る♪
(灰色の心には何も見えないのさ)
♪僕は猫、捨てられた子猫
灰色の毛並みのちっちゃな子猫
灰色の雨の中、誰も僕に気づかない
おなかも空いたしとっても寒い♪
(誰か、僕を拾ってよ)
(やはり、子猫の声がする)
(でも姿は見えない)
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
【やがて音楽は消え、軍隊の行進する音が響く、子猫の鳴き声がする】
     
     人々は、暗い表情で下向きに街角を往来する。路地の入り口に小さな木箱。かすかな子猫の鳴き声。だんだんこの泣き声が大きくなってくる。往来する人々の中には、この声に気が付き立ち止まって箱をのぞく人もいるが、やがて黙って去っていく。街角からすべての人が消え、残ったのは木箱だけ。その木箱から灰色の子猫が顔を出して、悲しそうに鳴く。遠くから靴音(軍隊の行進の音)


第一場  平和な市場 

町の市場。魚屋と果物屋がテント張りの店を出している。
   歌・平和な空の下
     
     【軽やかなメロディーから始まり最後は市場全体での合唱となる】
(長かった戦争もようやく終わった)
(生きるためには、とにかく食べ物)
(それに着るもの!)
(市場が元気を出せば、みんなも頑張れるさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
つらい思い出、心の傷は
簡単に消えはしないけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!うまい魚が入ったよ)
(この帽子、みてごらんよ!おしゃれだろ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(そこのおねえさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスさ)
♪昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
     
       猫が一匹、魚を盗んで舞台を横切る

ミレーニ   「お前さん、お前さんたら。わかってるのかねえ。また、あの猫が来たよ。昨日は5匹だよ、しかも値段の高い魚ばっかり。」
ジェラール  「わかってるってば、俺だって気をつけてはいるんだからよ。」
ミレーニ   「だいたい、お前さんがちょおっと若くてきれいなお客さんが来た日にゃ、もうでれでれしちゃって、悪猫団が店先に来たことにも気がつかないんだから。ほら、この間だって、あたしが言うまでそこのマグロとひらめの間に灰色の猫が昼寝をしてたことに気がつかなかったんだから。」
ジェラール  「ありゃ、すごかったな。ああ堂々と寝てられると案外気がつかんもんだな。あははは・・・」
ミレーニ   「何がおかしいのよ、しっかりしておくれよ、お前さん。家にゃ三人の可愛いこどもがいるんだよ。こう毎日、毎日も悪猫団にとられていちゃ、一家全員飢え死にだよ。」
       隣の果物屋のルアーナと古着屋のイザベルが顔を出す。
イザベル   「おやおや、また喧嘩かい。まあ、あの戦争に比べりゃ可愛いもんだけどさ。うちも、やられたんだよ、猫に。仕入れたばかりの青いショール、高かったんだよ。本当にくやしいったらありゃしない。」
ルアーナ   「それにしても悪猫団にも困ったもんよね。うちみたいな果物屋じゃ、猫に狙われそうなものなんか、ないからって安心してたら、悪猫団にも変なのがいるんだよね、お宅のダンナみたいに・・・失礼・・・何の話だっけ?あ、そうそう、変わり者の猫。ピンク色の毛の猫が、何とったと思う?」
イザベル   「さて、なんだろね。メロンかね、それともイチゴ?」
ルアーナ   「それがね、果物じゃなくて、果物かごを盗まれたのよ。」
ジェラール  「あっ、それて。悪猫団の一匹が、魚を三匹入れるのに使ったやつだよ。世の中にゃ、頭のいい猫もいるもんだと、猫を追いかけるのも忘れちゃってさ。」
ミレーニ   「感心してる場合じゃないだろ、お前さん。生活がかかってるんだよ。ようやく戦争が終わって、これで安心して商売ができると思っていたら、今度はどろぼう猫に邪魔されるのかね、ほんと、何とかしてもらいたいね。」
ルアーナ   「そう言えば、町に悪猫団対策本部ができたってね?でも本当に、猫を捕まえてくれるのかねえ。」
ミレーニ   「なんでも、悪猫団の親分は、灰色の大きな猫で、ずいぶん頭が良くて、いつも裏をかかれているって話だから、当分無理じゃないのかねえ?」
        
        悪猫団対策本部長ベルナールと担当官のフレデリクが犬二匹を連れて登場

歌・悪猫団対策本部の歌
     
     【コミカルに、リズムよく】
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪
(我々は、悪猫団対策本部から参りました)
♪ようやく平和になったのに
どろぼう猫が現われて
苦情殺到、みんなに怒られ
大の大人がのら猫退治♪
(おいおい、しっかりやっておくれよ)
(一生懸命、頑張ってるんですが・・・)
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
ここかと思えばまたあちら
悪猫団はずるがしく
なかなかなかなか、つかまえられない
今日も時間がむなしく過ぎる
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪

フレデリク  「本部長!質問してよろしいでしょうか?」
ベルナール  「何かね、フレデリク。私の女房の体重だったらノーコメントだが。」
フレデリク  「私は、こう思うのです。」
ベルナール  「そりゃ、君が間違ってるよ。」
フレデリク  「まだ、何も言っていませんが・・」
ベルナール  「ああ、そうか・・・それで?」
フレデリク  「どうして、悪猫団は捕まらないのでしょうか?」
ベルナール  「答えは、簡単じゃよ。」
フレデリク  「何でしょう。」
ベルナール  「悪猫団の方が、悪猫団対策本部の担当官より頭が良い・・・・ことしかないじゃないか!!」
フレデリク  「なるほど、それでわかりました。・・・えっ、それって・・・」
ベルナール  「さあ、市場に着いた。今日はここを警戒だ。」
フレデリク  「パオン、ピラト!今日こそ猫に負けるなよ!」
パオン、ピラト「わん!」
       
        フレデリク、市場の人たちにあいさつに行く

ベルナール  「みなさん、悪猫団対策本部長のベルナールです。今日こそ、あの悪猫団を一網打尽にすることをお約束いたしまあす。」
フレデリク  「だ、大丈夫ですか、そんなこと言っちゃって、私は知りませんよ。」
ミレーニ   「何だか、たよりないねえ、その犬だって、あんまり利口そうな顔をしていないし」
ジェラール  「ま、とにかくよろしく頼みます。家族の生活がかかってますんで」
ベルナール  「どうぞ大船に乗ったつもりで商売してください。」

        舞台がすこしずつ、暗くなる。

第二場  市場は大騒ぎ

     夕暮れの町の市場。たくさんの客でにぎわっている。舞台隅に悪猫団が登場する。

歌・作戦会議の歌(ささやくように)
     
     【ひそひそと話すように】
♪ニャー、ニャー、ニャー
さあ、うまく仕事やろうじゃないか
失敗したら夕飯抜きさ
だからしっかり作戦立てて
食べ物たっぷり手に入れようぜ♪
(どうしたら、うまくいくかニャー)
♪ニャー、ニャー、ニャー
まず、だれか騒ぎを起こすんだ
みんながそれを見てる間に
魚や肉をいただくんだ
もてる分だけ盗むのさ♪
(そのあとはどうするんだ?)
♪ニャー、ニャー、ニャー
あと、一目散ににげるのさ
四方八方に行くんだぜ
無事に逃げたら夜を待ち
いつもの森で待ち合わせ
ニャー、ニャー、ニャー
ニャー、ニャー、ニャー♪

チョビヒゲ  「オヤブン!どうします?悪猫団対策本部が来てますぜ。」
カイゾク   「今日は、やめときますか?」
ボロボロ   「でも、お腹がすいてるし」
ブン     「リスクを恐れていては、大きなゲインは望めない。」
ガラガラ   「何?それって?」
クタクタ   「こんな格言があるってこと。言い換えれば『虎穴にいらずんば虎児を得ず』」
ガラガラ   「いやだ、おけつだって」
クタクタ   「おけつじゃない!こ・け・つ!!」
ブン     「大きな獲物を得るには、それなりの危険が伴うことを覚悟しろということさ。」
ボロボロ   「じゃ、予定通り、やるのね。」
ブン     「もちろん、やるさ。目標はあのいつもの魚屋。クタクタとガラガラは、対策本部のあのあほ犬どもを挑発して騒ぎを起こす。そのすきに、おいらたちは魚屋から、おいしい魚をいただくって寸法だ。」
クタクタ   「それじゃ、みんなでいつものエールを!!」
        猫たち、まるく輪を作って
猫たち    「にゃー、にゃー、にゃ、にゃ、にゃ、(三三七拍子で)、エーイ!」
ブン     「落ち合う場所は、町外れ、森の広場だ。では作戦開始!」

        猫たち、忍び足で市場の中に。市場にはパオンとピラトの二匹の犬が座って話をしている。

ピラト    「ねえ、ちょっとパオン!パオンは私のことどう思う?」
パオン    「ずいぶん体格の良い犬だと思うよ。」
ピラト    「そりゃ、私はセントバーナード、体重は65キロもある。・・・そうじゃなくって、あれよ、あれ。」
パオン    「ああ、あれか。昨日の夕食の肉、独り占めしたことだったら、もう気にはしてないぜ。おいらは体ちっちゃいし、それにあんまり肉は好きじゃないから。」
ピラト    「ごめんね、あの肉を見ると、もうどうしてもとまらないのよ。・・・そうじゃなくって、本当ににぶいんだから」
        犬の目の前を、猫が通り過ぎる。
ピラト    「見た。今何か通らなかった?」
パオン    「何かが通ったね。尻尾が見えたような気がしたが」
        再び、猫が通る。
ピラト、パオン「悪猫団だあ!」
        パオン、逃げようとする。
ピラト    「(パオンの尻尾をつかまえて)逃げちゃだめよ?猫を捕まえるのよ!」
        パオン、ピラトわんわん鳴きながら、猫を市場の中で追いまわす。
        市場は大騒ぎになり、市場の人たちは猫、犬の追いかけっこに気を取られる。
        この隙に、ブンは果物屋に入り、果物かごを盗み出して、隣の魚屋へ。猫たちはまんまと魚を手に入れる。ミレーニたち、ようやく猫に魚を盗まれたことに気づく。
ミレーニ   「お前さん!また、やられたよ!しっかりしておくれよ。」
ルアーナ   「うちもだよ、またかごを盗まれちまった。」
ジェラール  「おい、対策団の本部長さんよう、さっきなんて言った。大船に乗ったつもりだと?そりゃ、藁で作った船かい?」
ベルナール  「申し訳ない。こんなはずじゃなかったのに。フレデリク、君はいったい何をしていたんだね!まんまとおとりの猫に気を取られてしまって。これで今月の給料はなしだぞ!」
フレデリク  「(犬に向かって)おいおい、これで三ヶ月連続給料なしだよ。」


第三場  森の広場
 
     町外れの森の広場、すっかり暗くなった空には三日月が出ている。猫たちが収穫の魚をくわえて登場。

クタクタ   「大成功!大成功!こんなにうまくいくとは!だから泥棒稼業はやめられません。」
ボロボロ   「もう、お腹がぺこぺこよ。早く食べましょうよ。」
クタクタ   「みんな、ちょっと待ちなよ。ブンがまだ戻ってない。食べるのはブンが戻ってからだ。」
ガラガラ   「そうよね、私たちがこうして毎日、毎日ごちそうにありつけるのも、あのブンがいるからよね。」
カイゾク   「一年前、おいらたちが、飢え死に寸前の状態で、この町に転がり込んできた時、最初に声をかけてくれたのがブンだった。それから三日間、ブンは俺たちに食べ物を運んでくれた。」
チョビヒゲ  「そうそう、毎日、食べ物を運んでくるたびに、ブンの体には新しい傷ができてた。」
ボロボロ   「風邪をひいていた私には、あったかな毛布を持ってきてくれた。」
ガラガラ   「でも、ブンはなぜあんなに人間を目の敵にするのかしら?クタクタはそのわけを知っている?」
クタクタ   「おいらがブンと会ったときには、もう今のブンと同じブンだった。前の親分のバサラが死んでから、さらに人間嫌いになったと聞いたが・・・」
        ブンが、果物かごを引きずりながら登場
ブン     「やあ、みんな無事か?良かった、良かった。それにしても、こいつは重かった。(かごの中から魚を取り出しながら)誰だい、このふぐを入れたのは。おいらを育ててくれたバサラという猫がいた。バサラは立派な野良猫だったが、たった一つ欠点があったんだ。それはふぐが大好きだったということだった。」
クタクタ   「そのふぐって、うまいのかい?」
ブン     「おいらも一度食べたが、そんなにうまいもんだとは思わなかった。でも、バサラは大好きで、ある日、間違ってふぐの肝までくっちまったんだ。バサラはふぐの毒にあたって、『苦しい、でもうまい。苦しい、でもうまい。苦しい、でもうまい。』と言いながら、死んじまったよ。」
ボロボロ   「へえ、そうだったの。そのふぐ入れたの私よ。だってそのお魚って、とても愛嬌のある顔してたんだから・・・ごめんなさい。(ボロボロ、泣く)」
ブン     「相変わらずボロボロは泣き虫だな。さあ、そんなことより、食事にしよう。」

歌・猫のお食事
     
     【猫が宴会、大騒ぎ、無礼講】
♪今日の稼ぎを食べようじゃないか
猫の食事のごちそうは
何といっても魚が一番
しかもとれたて新鮮なやつ
(この魚なんか、今にも泳ぎそうだぜ)
苦労して盗んだやつほどうまいんだ
腹いっぱい食べようじゃないか
残したりしちゃばちがあたる♪
(フグは駄目だぜ、いくらうまくてもな)
♪今日の稼ぎを食べようじゃないか
いくらうまいと言ったって
魚だけじゃいけないよ
野菜も我慢して食わなきゃね
(かっこ悪くないか?キャベツなんか食ったら)
文句言わずに食べるんだよ
それで今日を生きるんだ
今日の疲れをぶっとばせ♪

カイゾク   「あーあ、おいしかった。特にこってりとしたマグロが一番だったかな。」
チョビヒゲ  「それにして、思い出すのはあのあほ犬達の顔、面白かったな。あの後、怒られただろうな。ちょっと可愛そうな気もするけど。」
ガラガラ   「あの魚屋のおじさん、おかみさんに怒られていたけど、私、あのおじさん、好きだな。だって、どこか猫好きって感じよ。」
クタクタ   「猫は、自分を可愛がってくれる人間は、本能的にわかるんだ。だから、ガラガラの感覚は正しいかも知れない。」
チョビヒゲ  「おいらたち猫って、不思議だよね。昔は、山や野で人間とは関係なく暮らしていたって聞いたけど、今の猫は、人間に飼われていたり、野良猫でも、どこかで人間と関わりを持っているんだよね。」
クタクタ   「どうかな、まだ寝るには時間が早いし、今まで人間とどんな関わりをもって来たのが話をしてみないか?」
ガラガラ   「賛成!!それって面白そう、ねえみんな。」
猫たち    「やろう、やろう!」
ブン     「・・・・・・」

第四場  カイゾク達のはなし
     森の広場、一段高くなったところに舞台

クタクタ    「それじゃ、誰からやろうか。」
カイゾク    「おいらたちがトップバッターをやろう。さあ、チョビヒゲ、ボロボロ」
チョビヒゲ   「(舞台の上に乗って)どっこいしょと。さて、おいらたち三匹は、子猫の時、港の桟橋に捨てられていたんだ。」
ボロボロ    「霧がたちこめる桟橋は、それはそれは寒かったの。」
カイゾク    「三匹は、小さな体を寄せ合って、何とか生き延びようと頑張った。」
チョビヒゲ   「やがて大きな貨物船が、着いて、何人かの船乗りさんが桟橋に下りてきた。」
ボロボロ    「私たちを助けてくれたのは、大きな体の船乗りさんだった。」
カイゾク    「『やあ、こんばんは。私の名前はシェルドンです。よかったら、私と一緒に世界中を航海してみませんか?』ってあいさつしてくれた。」
ボロボロ    「それから、何年も私たちは船の中で過ごした。ハワイ、オーストラリア、ブラジル・・・日本にまで行ったのよ。」

歌・青い海の上で
     
     M6 青い海の上で
【ゆったりと】
♪船乗りさんと僕たち猫は
深い付き合いがあったのさ
猫は船のネズミを退治
港に着いた船に乗り込んで
荒波踊る七つの海を
船乗りさんと大冒険♪
(なんか、いいねえ。ロマンだねえ!)
♪青い青い海の上では
荒くれ者の船乗りさんも
猫にはとっても優しくて
夜は一緒にねんねして
昼間は甲板で遊んでくれて
毎日がとても楽しかった♪
(食べ物にも不自由しなかったんだろ)
♪それが、それが、ある日♪


チョビヒゲ  「とても幸せな時間が過ぎていったんだ。ところがね、船の甲板に灰色の雨が降る夜に、突然この幸せ
が終わってしまったんだよ。」
          カイゾク   「その夜、おいらたちはいつものようにシェルドンと一緒に寝ていた。」
                  舞台上には、シェルドンが寝ていて、その横に三匹の猫が寝ている。
                  遠くから、足音(軍靴)が近づいてくる

                  大きな閃光と爆発音 そして暗闇
          シェルドン  「魚雷だ。魚雷でこの船が攻撃された。みんな大丈夫か」
                  船のきしむ音
          シェルドン  「船が沈むぞ、何とかしなければ」
                   さらにきしむ音
          シェルドン   「甲板に出るんだ、早く!」
                   舞台に薄明かり、雨の甲板が光る。沈みかける船。
          シェルドン   「どうやら、私も年貢の納め時のようだ。できれば、もっと平和な時代に生まれて、大海原を君たちといっしょに航海したかった。なぜこんな目に遭うのか、理由はわからない。でも、君たちだけは助けてやるからな。」
                   シェルドン、船の上の木箱を持ち出し、猫を中に入れる。
                   そして、船から海の上に落とす。
          シェルドン   「絶対、生き残って、私の分まで生きるんだぞ!」
                   舞台は暗くなり、大きな爆発音、再び元の森の広場の舞台に戻る。
          カイゾク    「それから、何日がたったのかわからなかった。」
          チョビヒゲ   「砂浜に打ち寄せる波の音がしたんだ。」
          ボロボロ    「私たちは、本当に運良く流れ着いたの。」
          カイゾク    「それから、あちらこちらを流れ歩いて、ブンに出会ったのさ。」
          チョビヒゲ   「これでおいらたちのお話はおしまい。」
                   クタクタ、ガラガラ拍手
          クタクタ    「もう一度、シェルドンに会いたいかい?」
          ボロボロ    「会いた~い!でも、無理ね。」
          カイゾク    「次は、クタクタの話を聞こう。」
          クタクタ    「わかった、おいらの話聞いて泣くなよ!」
    

第五場  クタクタのはなし
     森の広場の舞台。

クタクタ    「えへん、なんか緊張しちゃうな。」
ガラガラ    「何、照れてるのよ。クタクタらしくないわよ。」
クタクタ    「そうだな、らしくないな。じゃ、始めるか。
おいらが生まれたのは、信じられないだろうが、戦場のど真ん中だった。」
          ボロボロ    「へえ、じゃ苦労したんだ。」
          クタクタ    「ここからずっと北の方角に大きな川があった。そこには長い橋がかかっていて、その橋をはさんで人間たちが戦争をしていたんだ。その橋の下でおいらは生まれた。その橋をめぐって、何ヶ月も戦いが行われ、たくさんの人間が死ぬのを見た。」
          ガラガラ    「さぞ、こわかったでしょうね。」
          クタクタ    「それが、不思議なことにちっともこわくはなかったんだ。ある大きな戦いがあった日、おいらはおかあさんとはぐれてしまった。」
          カイゾク    「そりゃ、悲しかっただろう?」
          クタクタ    「泣いて、探し回ったよ。でも見つからなかった。そのうち、気がつくと戦闘の真っ只中にまぎれこんでしまっていたんだ。一人の兵士が、おいらを見つけてリュックの中に放り込んでくれた。兵士の名前はベルナーって言ったかな。」
                   舞台は、暗くなって、やがて一人の兵士が現れる。
          ベルナー    「(クタクタに向かって)君は、どうしてこんなところにいるんだい。おかあさんとはぐれたのかな。僕も同じようなものだけど。それにしても、戦争ってやつはいやなもんだ。たくさんの人間が、いや人間だけじゃなく君たち猫だってそうだけど、理由もわからず死んでしまうんだからね。このまま戦争が長引けば、僕も多分、理由も知らないまま死んでいくんだろう。そりゃ、怖いしさみしいさ、でも逃げるのは許されない。だから、生きている間、もう少しの間、僕の友達でいてくれないか?そうだ、僕の生まれ故郷の歌を歌ってあげようか。君にも教えてあげよう。」

歌・ふるさとを思って
     
     【情感を込め】
♪目を閉じると、はっきりと浮かぶ
僕が生まれて、育った町が
潮のかおり、船の汽笛
かもめの羽音に灯台の明かり
市場に集まる町の人たち
もしも神様がいるのなら
お願いしたいふるさとに
戻れる日が来ることを♪

♪育ててくれた、大好きなおばあさん
今も元気に、いてくれるだろうか
腰は曲がって、目は悪く
耳も遠いし、真っ白な髪
毎日、猫と話してるだろか
もしもふるさとに帰れたら
大切に大切にするからね
たった一人の家族だから♪

          クタクタ    「にゃー!」
          ベルナー    「さあ、今夜はここで野宿しよう。ほらあんなにたくさんの星が話し掛けてきているよ。君のおかあさんも今ごろ、あの星を見ているよ、きっと。僕のおばあさんも・・・おやすみ。」
                   暗転 スポットライトでクタクタが浮かび上がる。
          クタクタ    「それから、ベルナーといっしょに何ヶ月もあちこちに行った。危険ばかり待ち受けていて、そりゃ楽な旅じゃなかったけれど、一緒にいることで何かベルナーの役に立っているような気がして、なぜか気持ちがあったかくなったんだ。でも、それもおしまいの日がきてしまった。あの灰色の雨が降る朝のことだった。」
                   雨音が続く、そして軍靴の音が近づいてくる。
                   突然、機関銃の音がして
          ベルナー    「あぶない!かくれろ!」
                   大きな爆発音
                  ベルナーが、クタクタをかばって倒れている。
          クタクタ    「にゃー」
          ベルナー    「・・・無事だったかい?君を救えて良かった。僕はだめかもしれない。僕は、なぜ死ななければならないんだろうね。やはり、わからない。でも、君がいてくれて良かった。君がいてくれたおかげで、僕は最後まで人間でいることができたんだから。ああ、もう目の前が暗くなってきた。リュックの中に食べ物があるから、それを食べて、それから南に向かうんだよ。平和がそこまできているはずだから・・・・(ベルナー息を引き取る)」
          クタクタ    「ベルナー!」
                   元の森の舞台に戻る
          クタクタ    「ベルナーが死んで、おいらは南に向かった。たくさんの人が死んでいた中を抜けて。南に、南にと。ベルナーの行ったとおり、平和がそこまで来ていたんだ。そして、ブンと出会ったのさ。これでお話は終わりだ。」                   
          ボロボロ    「エーン!すっごく悲しいお話ね。」
          クタクタ    「さあ、次はガラガラの番だよ。」


第六場  ガラガラのはなし
     森の舞台

ガラガラ   「(涙をふきながら)私、だめ。悲しく話すことなんかできないわ。」
チョビヒゲ  「さ、がんばって、ほら。」
ボロボロ   「(泣きながら)泣いてちゃだめよ。ほら、私だって笑ってるでしょ!(泣き笑い)」
ガラガラ   「クタクタの物語で、自分のことを思い出しちゃったの。思い出の中にあったことが急に、今さっき起こったかのような気がして。(再び、泣き出す。)」
クタクタ   「本当につらい事なんだね。でも、その悲しいことをみんなのものにしようよ。悲しみを分け合うのは、僕ら猫の得意技なんだから。わかった!ここで、ガラガラの得意なダンスを見せてよ。みんなも一緒に踊らないか?」
ガラガラ   「ダンス?こんな気持ちの時に、ダンスなんて無理よ。」
クタクタ   「ダンスとか歌は、うれしいときと悲しいときにやるもんさ。だから、大丈夫さ。」
ガラガラ   「わかった、やってみる。」
カイゾク   「その意気!その意気!」
ガラガラのダンス
     
     【ダンス音楽、猫の動きのダンス】
(さあ、お待ちかね。私のダンス、見てくれる?みんな手拍子!)


ボロボロ   「いっつも思うんだけど、ガラガラのダンスって上手よね。どこでおぼえたの?」
ガラガラ   「しかたないわね、話すわ、なぜ、ダンスが得意になったかを・・ね。
        私も、捨て猫だった。私が捨てられていたのは、北の寒い場所。みんなみんな凍ってしまう大地の上だった。でも、そんなこと覚えてはいないのよ。それは後から聞いたこと。私が覚えているのは、サーカスのピエロ。名前はポッポとピッピ、二人は子供のいない夫婦だっの。私は二人に拾われれてサーカスの中で育った。」
チョビヒゲ  「サーカスだって!あこがれていたんだ。ねえ、カイゾク。ニューヨークに行ったとき、二人で船を抜け出して、見に行ったよね。わくわくして、走ったこと、覚えてる?」
カイゾク   「もちろん、しっかり覚えているよ。心配して探しにきてくれた、シェルドンにものすごく怒られたよね。」
ガラガラ   「サーカスは、とても楽しかった。一ヶ月くらい、同じ町にいて、それからまた馬車にのって別の町に移るのよ。旅も面白かった!!」
ボロボロ   「旅って、素敵よね。だって、いろんな猫に出会えるし、自分が別の猫になることができるような気もするし・・・」
ガラガラ   「ポッポとピッピは、どこでも人気者だったの。そして、二人の踊りは最高だった。私も教わって、一緒に舞台にも出たわ。」
        暗転 二人のピエロが登場
歌・ピエロの踊り
     
     ♪いつの日からか、はっきりとは
おぼえてないけど自分の顔を
きれいだった世界に捨ててきた
顔の化粧は心まで
わからないように塗りつぶす
本当の顔はどんな顔
本当の心はどこ行った
ただ、ただ、顔に書かれた涙にだけは
どんな時でも嘘はなかった♪
【ここで明るいサーカス風の音楽に変わる】
(さあ、みなさん、お待ちかね。サーカスが始まるよ)
♪よく来てくれましたサーカスに
ライオン火くぐり、象の玉乗り
空中ブランコ、ナイフ投げ
いろんな出し物次から次へ
二人のピエロが案内します♪
(ピエロは、何かやらないのかって?
やりますよ、やりますよ、えっ?一輪車?
どうする?やってみる?)
【一輪車に乗ろうとして失敗、ごまかして踊る】
♪やがてその日がくるだろうと
覚悟はとっくにできてるけれど
本当の顔を思い出せたら
しまっておいた自分の心が
どこに行くのか恐ろしい
本当の顔はどんな顔
本当の心は・・・・・・・・
ただ、ただ、顔に書かれた涙の跡は
ずっとずっと消えないだろう♪




ガラガラ    「楽しかったサーカスの暮らしも終わりの日がやってきたの。灰色の雨が、雪の上に降っていた日」
         ポッポとピッピ、そしてガラガラが踊りの練習をやっていると
         遠くから軍靴の音、やがて大きくなってくる。
         【スローモーション】
         兵隊が二人、シルエットで近づいてくる(無言)
         逃げようとするポッポとピッピ
         兵隊、ポッポ、ピッピの腕をつかんで連れていく。
         手を、ガラガラに伸ばすポッポとピッピ
         やがて、足音だけが遠ざかっていく

ガラガラ    「私は、後を追いかけた。でも、ポッポ、ピッピは私を追い返そうと、足でけったりした。駅まで付いていった。ポッポの口が『逃げろ!』って動いたの。私が立ち止まった時、ピッピはすごくうれしそうな笑顔を見せた。でも、目は涙がきらきら光っていた。」
ボロボロ    「エーン、エーン、悲しいよお!」
        汽笛と汽車の音
ガラガラ    「・・・・・・・(かがみこんで泣く)」
         クタクタを慰める猫たち
        しばらくの沈黙

クタクタ   「(体を起こして)さあ、最後だ。ブンの話を聞こうじゃないか?」
カイゾク   「さあ、ブンにはどんな物語があるんだろう。楽しみだなあ!」
ボロボロ   「早く、聞かせてよ!ねえ、ブンったら!」

ブン     「こんなのくだらないよ。人間と関わったことの思い出話だなんて。だって、そんなこと話したって、お腹が膨れるのかい?おかしいね、ふん、笑っちゃうよね。そんなことより、明日の食べ物のことの方が、十倍も一億倍も重要さ。そんなに人間が懐かしいなら、いいんだぜ、悪猫団を出て行っても。そのほうが、こっちは気楽に過ごせるってもんだ。寝るよ、明日、早いからな。」
        ブン、どこかに行ってしまう。
ガラガラ   「あ、あ、あのブンが怒った。今まで、あんなに私たちにやさしかったブンが・・・(泣く)」
          クタクタ   「何かおかしいな、ブンは。いったいブンに何があったんだろうね。」


第七場  アトラスのはなし

        森の中の広場

アトラス   「やあ、やあ、悪猫団の諸君、あいかわらずおにぎやかなことで。今日もどろぼう稼業は大成功のようじゃな。」
クタクタ   「アトラスじいさん!いつも元気そうで。」
アトラス   「元気には元気なんだが、最近どうも夜、ねむれなくってな、もっとも、ミミズクが夜寝てたらおかしいか?うぉふぉふぉふぉ(笑う)
実はな、さっきからずっと、あの木の上で、お前さんたちの、悲しい物語を聞かせてもらっていたよ。、人間は本当に残酷な生き物なんじゃが、不思議なことに奇妙なやさしさも持ってる、やっかいなもんじゃなあ。お前さんたちは、そのことにうすうすとは気がついているのじゃろう?」
          ガラガラ   「そう、そうなの。あの何か暖かい気持ちが、今でも忘れることができないのよ。」
          アトラス   「私ら、ミミズクにとっては、人間と関わりあうことは、まずない。だから、お前さんたちのように悩むことはないだろうが、猫は大昔から少なからず人間と一緒に生活をしてきたから、どんな事態になってもお互いに無視はできないのじゃな。」
チョビヒゲ  「ブンが急に不機嫌になって、どっかに行っちゃたんだよ。なぜ、怒ったんだんだろうか?」
ボロボロ   「私たちが出会う前のブンは、どんなだったのかしら。」
カイゾク   「そうだよ、多分それだよ。ブンの生き方、それを知れば何かわかるかも知れない。」
クタクタ   「アトラスじいさん、じいさんはブンが生まれたころから、ブンのこと知っていたんだろう。ブンがどうして、あんなに人間との関わりあいを嫌うようになったのか、教えてくれないか?」
アトラス   「ブンは、お前さんたちみたいに大海原を航海したり、戦争にまきこまれたり、サーカスで踊ったりしたことはなかった。よし、ブンに代わって、ブンの物語を聞かせよう。」
カイゾク   「やはり、ブンにも何かあったんだ。」
アトラス   「まあまあ、わしの話を静かに聞いておくれ。聞き終わるころには、ブンの悲しみがよくわかるじゃろ。」
ガラガラ   「怖いわ、私。」
アトラス   「何年か前、もう正確には思い出せんが、長く長く灰色の雨が降り続いた年があったのじゃよ。そんな年にブンは生まれた。その頃は戦争の真っ最中で、人間の心はらせん階段のようにねじれておった。食べ物も着るものもなく、そして希望もなかった。ブンはやはり、捨て猫だったんじゃ。灰色の雨の中、ちっちゃな木箱にいれられてな。」
        暗転 
舞台には傘をさし、レインコート姿の人々が登場

   
   歌・灰色の雨の中で
     
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(思い出せない、空の色も街の明かりも)
(あのたくさんの色を最後に見たのは、いつだったのか?それすら思い出せない)
♪灰色の空の下、灰色の心が歩いてる
ときめいていた心はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
(どこかで、動物の声が・・・)
(あれはたしか、そう子猫の声だ)
(でも、今の私たちには何も見えない)
♪灰色の空の下、灰色の雨が降る♪
(灰色の心には何も見えないのさ)
♪僕は猫、捨てられた子猫
灰色の毛並みのちっちゃな子猫
灰色の雨の中、誰も僕に気づかない
おなかも空いたしとっても寒い♪
(誰か、僕を拾ってよ)
(やはり、子猫の声がする)
(でも姿は見えない)
♪灰色の空から灰色の雨が降っている
澄み切った空の青さはどこに行った?
光輝く彩はどこかに消えた
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ
今はただ、ただ灰色の雨が降るだけ♪
【やがて音楽は消え、軍隊の行進する音が響く、子猫の鳴き声がする】
     
アトラス   「灰色の雨の中に捨てられた灰色の子猫、ブンに気がつく人はおらんかった。ブンに声をかける人すらなかった。」
     木箱で泣くブン、人は去り、一匹の黒猫が近づく。
バサラ    「やあ、大将。無駄ってもんだぜ。もっと効率的にっていうか、効果的に行動しないとこの渡世は生きていけないぜ。・・・えっ、話が難しすぎるってか・・・なるほど。泣くなよ。泣くな。頼むから。ほら、なんでもしてあげるからさ。」
        
バサラ    「猫の逆立ち、見たくないか。」
        バサラ、逆立ちをする。ブン、泣く
バサラ    「・・・・面白くないってか?じゃ、こりゃどうだ。」
        バサラ、ガラスマイムをやる。ブン、さらに泣く
バサラ    「・・・これもだめかよ!これが最後だぞ。」
        バサラ、チャップリンの真似をする。ブン、悲鳴のような泣き声
バサラ    「もう、しらねえ。・・・腹が減ってきちゃったよ。いっしょに来るか?」
        ブン、首を横に振る。
バサラ    「そうか、そのくらいの根性がありゃ、大丈夫だ、生きていけるだろ。もし、どうしても困ったときには、俺を訪ねてくるんだぜ。じゃあな。」
        暗転
アトラス   「ブンは結局、人間には拾ってもらえなかったんじゃ。灰色の時代の、そして灰色の雨、その中の灰色の猫は、人間には見えるはずがなかろう。本当にあるものが、まったく見えなくなってしまうんじゃよ。」
カイゾク   「ふーん、そうなのか。ブンはそれからどうしたの?」
アトラス   「しかたなく、ブンは町外れの工場脇の空き地まで歩いていった。そこでブンは一人の人間の女の子に出会ったのじゃ。ジャンヌという名前で、一人でその空き地に住んでおった。」
クタクタ   「それじゃ、ブンは、ジャンヌと一緒に暮らし始めたんだね?」
アトラス   「そうじゃ、確かに食い物も少なく、いつもはらぺこではあったが、それでも二人は幸せじゃった。」
ボロボロ   「よかった!それで、それで?」
アトラス   「ブンは夜になると、この広場で行われる野良猫の集会に参加するようになっていて、ある夜の集会が終わったあと、空き地に戻ると、いつも起きて待っていてくれるジャンヌがいないことに気づいたのじゃ。ブンは、大声を上げてジャンヌを探した。工場の塀沿いを流れる水路の中で冷たくなったジャンヌを見つけたのは、もう東の空が明るくなるころじゃった。」
ガラガラ   「ジャンヌは病気だったの?」
アトラス   「そう、病気だった。その工場で捨てている薬で中毒を起こしたのじゃ。しかし、真相は明らかにされず、ジャンヌの病気は、猫が運ぶ伝染病ということで片付けられたんじゃよ。」
チョビヒゲ  「ずるいよ、そんなこと!」
クタクタ   「それじゃ、ブンは?」
アトラス   「そう、ブンだけじゃなく、野良猫全体が人間に追いまわされたんじゃ。つかまって、たくさんの猫が殺された。」
カイゾク   「だから、ブンは人間を信じることができなくなったのか?」
アトラス   「その後、ブンはあのバサラといっしょに、悪猫団を作って、何とか生き延びてきたというわけじゃよ。ただ、わしの思い過ごしかもしれんが、ブンの本当の気持ちは違うような気がするんじゃ。」
カイゾク   「と、言うと?」
アトラス   「本当は、人間に好かれたい。人間の役に立ちたいと思っているんじゃ。」
ボロボロ   「まさか、あのブンが?」
アトラス   「わしにゃあ、よく分かる。ブンの気持ちがな。ああ、長居しちまったわい。わしも、そろそろ食事が恋しくなったからの。それじゃ、またな。」
        アトラス、ばたばたと飛んでいく。
猫たち    「いってらっしゃーい、アトラスじいさん!」

第八場  明日、また

        森の中の広場

クタクタ   「ブンは、だから怒ったんじゃない、思い出したくなかったんだ。」
ガラガラ   「そうね、私たちだって悲しい思い出だけど、ブンはもっと辛かったのね。」
ボロボロ   「私たち、ブンに何かしてあげられないかしら。」
チョビヒゲ  「ううん、むずかしいな。」
カイゾク   「しっ!誰か来たぞ。あ、ブンだ。」
ブン     「(多少、決まり悪そうに)まだ、起きているのか。」
クタクタ   「もうそろそろ寝ようかなって思ってたところさ、な、みんな。」
猫たち    「(わざとらしく)あーあ、ほんと眠いなあ!」
ブン     「・・・・・」
クタクタ   「もう、お月様もあんなに動いちまった。お星様でも見ながら、おねんねするかい。」
ボロボロ   「賛成、もう私疲れて疲れて、ボロボロよ!」
クタクタ   「おいらも、クタクタよ!は、はははは、はあーあ」
ブン     「明日は、たまにはみんなで一緒じゃなくて、別々にすごそうと思うんだけど、どうかな?」
カイゾク   「おいら、大賛成!たまには、プライベートに冒険を楽しみたもーん、ね。」
【舞台、暗くなる ブンに薄明かり】

歌・明日
     
     ♪猫の明日は猫のもの
人間がいる限り僕たちは
平和な暮らしは望めないけど
猫の明日は猫が作る
人間の助けなんてくそくらえ
人間は信じない
人間と暮らさない
猫の明日は猫のもの♪
【ジャンヌが現われる】
(ブン、なぜそんなにこだわるの?私と一緒に暮らした日を忘れてしまったの?)
♪私はとっても幸せだった
あなたと過ごした短い時間
(うそだ、ジャンヌは人間に殺されたんじゃないか、僕は信じない、人間を)
♪そうね、でも、聞いてブン
人間のほとんどはいい人なのよ
たまたま悪い人がいたせいで
私はあなたと別れてしまった♪
ジャンヌ   ♪信じてあげて(もう一度、人間を)
ブン     信じられない(絶対に、許せない)
ジャンヌ   前を向くのよ(一緒に平和を守るの)
ブン    僕にはできない(怖いんだ)
ジャンヌ   勇気を出して
   きっといつかあなたに
   本当の幸せが来ることを
       ずっとずっと祈っています。
   【ジャンヌ、消える】
ブン    ジャンヌ!



十五分の休憩

第二幕
第一場  平和な市場 

町の市場。魚屋と果物屋がテント張りの店を出している。
おばあさんが市場に買い物に来て、みなに挨拶される。
   歌・平和な空の下
     
     【一幕一場と同じ音楽だが、多少静かに音楽は始まる】
(今日も市場はいい天気)
(ほら、おばあさん、これ買っておくれよ)
(安くなるかい?)
(私の笑顔だったら、ただでいいけどさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
売り物の数、少ないけれど
値段もそこそこ高いけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!このキャベツ、新鮮だろ)
(手袋なんか、どうだい、これから寒いよ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
一日、一日、よくなっていく
そんな気がする毎日さ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(おばあさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスさ)
♪一日、一日、よくなっていく
そんな気がする毎日さ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
     

ジェラール  「おばあさん、どうだい、今夜はちょっと贅沢してヒラメの・・・(ミレーニがジェラールの口をふさぐ)」
ミレーニ   「(店の奥にジェラールを引きずりこみ)ばかだね、あんたは。あのおばあさん、たった一人の孫が、戦争に行って、帰ってこないんだよ。死んだって言う人もいたよ。だから、今、一人で貧しく、貧しく暮らしているんだよ。」
ジェラール  「(店から出てきて)そうだったのか。大変だったな、おばあさん。何か持ってくか?」
おばあさん  「いいんだよ、気を使わなくても。ありがとう。そこで花を一輪、もらったので十分だよ。今日は、小麦粉を買いに来たんだよ、パンを焼かなくっちゃならないからね。」
ミレーニ   「小麦粉だったら、その先の角を曲がったところで売ってるからね。」
       隣の果物屋のルアーナと古着屋のイザベルが顔を出す。
イザベル   「おばあさん、困ったら、おいでよ。」
ルアーナ   「そうだよ、この町じゃ、みんな戦争の被害者なんだからね。遠慮すんじゃないよ。」
おばあさん  「ありがとさん、でもね、まだまだ頑張ってみるからね。それじゃさようなら」
(おばあさん、カタカタはける)        


第二場  おばあさんの思い出

貧しいおばあさんの家、ねこと一緒におばあさんが幸せそうに暮らしている。
暖炉がある。その上には、若者の写真。

歌・幸せな日々
     
     ♪人はこんな私のことを
一人暮らしのおばあさんとして
とても心配し親切に
声をかけてくれるけど
どうか心配しませんように
私は少しもさみしくない
だってみんながいてくれる♪
(どうしたの、お前、鼻乾いていないかね)
(足、どうかしたの?ほら、ケガしてるじゃないの)
♪猫はとっても気ままに生きる
一人暮らしのおばあさんにとって
気ままに生きる猫は
お話し相手にちょうどよく
心がとっても落ち着くの
喧嘩はしない仲よくね
だってみんな家族でしょ♪
(お前たち、長生きするんだよ、きっと今にいいことがあるからね)
♪いつまでも続いてほしいこの幸せの日々
いつまでも続いてほしいこの幸せの日々

おばあさん  「お前たちは、本当によい子ばかりで、私はとっても幸せだよ。貧しい生活で、そんなにおいしいものをお前たちに食べさせることができないのは、すまないとおもうけれど、いつまでもそばにいてほしいと思っているんだよ。」
       暗転
おばあさん  「ああ、また夢を見てしまったようだね。あの猫たちはいったいどこにいっちまったんだろうね?毎日が気が抜けてしまったようで、なんとも味気ないねえ。夜、寝るとき、いっそ明日の朝が来なけりゃいい・・・だなんて思ったりして。そんな夜が明けて、朝になると、また、長い一日が始まるたびに、大きなため息が出ちまうんだねえ。どうしているのかねえ、あの子達は」



第三場  忍び込んだ猫

おばあさんの家

ブン     「なんとも、無用心なうちじゃないか、これじゃ泥棒猫がはいっちゃいますよ!入りますよ!ほら、入っちゃった・・・・けど、ひどいね、こりゃ貧しいね、質素だね。狭いね、これじゃ猫の額に負けちゃいますよ。見てくださいよ、このカーテン、このつぎはぎはまるでパッチワークだよ。」
       ブン、あたりを物色する。テーブルの上に食べ物を見つける。
ブン     「さて、ま、どんなに貧しくても、少しぐらい食い物はあるだろう。(カチンカチンになったフランスパンを見つけて)うん?これが人間の食べるものかね?このキャベツなんぞは、ほら、乾いちゃってるよ。コンクリートが置いてあるよ、ん、こりゃチーズだよ。こんなのかじったら、三年間は消化されないね。」
        ブン、テーブルの上のスプーンを床に落としてしまう。
おばあさんの声「誰か、いるのかい?」
        ブン、あわてる。逃げ場所を探す。台所の隅においてあった、袋の中に飛び込む。
あばあさん  「(部屋に入ってきて)おや、おかしいわね、誰もいない。気のせいだったのかねえ。」
        袋ががさがさするのに気づいて
おばあさん  「この小麦粉の袋があやしいね、さあて、お客様はどなたでしょうかねえ?」
        袋からブンを引き出す。ブン、白く変身している。
おばあさん  「おや、お前はシロじゃないか。いったいどこに行っていたんだい。この三年間、私がどんなに寂しい思いをしたことか。でも、よく帰ってきてくれたね。あの夢は、お前が帰ってくるしらせだったんだねえ、何かいいことが起きるような予感がしていたんだよ。それにしてもうれしいねえ、これでまた私にも生きる楽しみがもどってきたようだよ。」
        ブン、抱きしめられるが、手を振って否定する。
おばあさん  「シロや、おなかが空いただろ、私の夕食のおかず、焼き魚をお食べ。私の分?いいや、私はいいんだよ。お前が帰ってきてくれたことで、もう胸がいっぱいだから。」
        ブン、食事をする。

歌・猫が帰ってきた
     
     ♪シロが帰ってきた、私のもとに帰ってきた
ずいぶんたくましくなったけど
間違いもなくあのシロだ
お前がいなくなったあの日から
どんなにさみしく思ったか
いったいどこにいたんだろう
きっと苦労をしたんだね♪
(ほかの猫はどうしたのかね、一緒じゃなかったのかね)
♪シロが帰ってきた、私の家に帰ってきた
毛の色も少し変わったけれど
間違いなくあのシロだ
毎日あちこち探したけれど
見つけることはできなくて
あきらめかけていたとこに
シロは帰ってきてくれた

猫が猫が帰ってきた
さみしいさみしいこの家に
猫が猫が帰ってきた
やっとやっと帰ってきた♪


おばあさん  「さて、それじゃ、今夜は久しぶりに一緒に寝ようかね?甘えん坊で、いつも私のベッドにもぐりこんできたからねえ。」
     ベッドに入るおばあさんとブン
おばあさん  「あったかだねえ・・・むにょむにょ・・・あの歌が上手だった、しましまの猫にもあいたいねえ!」
     ブン、ベッドから起きて
ブン     「うーん、この家には、しましまの猫もいたのか。それにしても、なんだろう、このあったかさは。このおばあさんといっしょにいると、冬の日のひなたぼっこをしてるみたいだ。」



第四場  ブンのたくらみ

森の広場 夜

    猫たちが集まっていて、今日のいろいろな冒険について話をしている。

猫たちの笑い声
          ボロボロ   「それで、どのくらい、そこに座っていたのよ?」
          カイゾク   「三十分くらいかな?ほんと、誰も気がつかないんだ。」
              ブンが帰ってくる。
          ブン     「カイゾクは、何をやったんだい?」
          クタクタ   「それが、おかしいのよ。銀行のカウンタの上に乗って、招き猫のまねしていたのよ。」
          カイゾク   「ときどき、あげる手をかえたりしたんだけど、お客も行員も全然、気がつかないんだぜ。」
          ボロボロ   「それから、どうしたのよ。」
          カイゾク   「おそうじをするおばさんが来て、カウンタを拭き始めたんだよ。それで、おいらをつかんで横によけようとしたんだ。そのときのおばさんの顔、想像できる?だってさ、固いと思ってつかんだ猫が、本物のねこで、むにゅっとしていたんだぜ。」
          猫たち    「ひぇー、(大笑い)」
          カイゾク   「銀行は、もう大騒ぎよ。防犯ベルが鳴っておまわりさんは来るし、たくさんのやじうまが来るしさ。」
          クタクタ   「(元気のないブンを見て)どうかしたのか、ブン。何か、あったのかい?」
          ブン     「いや、あ、そうだ。クタクタは歌が得意だったよね?」
          クタクタ   「ああ、子猫のころ、毎晩歌っていたからな。でも、なぜそんなこと聞くんだ?」
          ブン     「実は、今日ちょっと、おもしろいばあさんと出会っちまって、おいらのことを昔飼っていた猫と間違えてさ。おいらも、たいくつしてたから、その猫になりすまして、付き合ってやったのさ。その家には歌のうまいしましま猫もいたって言ってたから、あした、おいらといっしょに行って、もうちょっとだましてやろうと思うんだ。」
          クタクタ   「ふーん、面白そうだな。いいよ、一緒に行ってあげる。」
          ブン     「じゃ、明日。ちょっと疲れたから、先に寝るよ。」
                  ブン、寝てしまう。
          ガラガラ   「ねえ、ねえ、どういうこと?ブンが人間をからかうなんて。どういう風の吹き回しかしら。」
          クタクタ   「ブンの心の中で、何かが起き始めているんだろうね。ブンにとっては悪いことではなさそうだから、みんなで協力してあげよう。」


第五場  歌う猫

おばあさんの家

        ブン、クタクタを連れておばあさんの家に入る。
ブン     「ここが、あのばあさんの家だ。なっ!しけた家だろ?」
クタクタ   「でもね、何かとってもなつかしい気がする家じゃないか。」
ブン     「さて、早速準備をしなくっちゃ。」
        ブン、小麦粉の袋に飛び込もうとする。
クタクタ   「なるほどね、それで間違えたんだね。」
ブン     「そろそろ、ばあさんが現れるころだ。さあ、クタクタ、位置について!」
       クタクタ、気取ってポーズをとる。
ブン     「何、やってんの?ほら、いつもどおり、自然に、自然に!」
        おばあさんが入ってくる気配
ブン     「ほーら、来たぞ!」
おばあさん  「おや、シロ!帰っていたのかい。朝起きたら、いなかったから、また出ていっちゃったんじゃないかと心配していたんだよ。」
        そばにいるクタクタに気づいて
おばあさん  「あれー!そこにいるのは、歌の上手なシマシマじゃないか!お前も帰ってきてくれたのかい。ああ、そうかい、シロ、お前が連れてきてくれたんだねえ。ありがとうよ、シロ。さっそく、シマシマのあの自慢の歌を聴かせておくれ。」
       ブン、クタクタ、少し離れて相談する。
クタクタ   「いつもの、あれで良いか。ちょっと寂しくないかな。」
ブン     「構うもんか、何でも良いのさ。」
クタクタ   「よーし、いっちょやったるか!」

歌・ふるさとを思って
     
          【情感を込め】
♪目を閉じると、はっきりと浮かぶ
僕が生まれて、育った町が
潮のかおり、船の汽笛
かもめの羽音に灯台の明かり
市場に集まる町の人たち
もしも神様がいるのなら
お願いしたいふるさとに
戻れる日が来ることを♪

♪育ててくれた、大好きなおばあさん
今も元気に、いてくれるだろうか
腰は曲がって、目は悪く
耳も遠いし、真っ白な髪
毎日、猫と話してるだろか
もしもふるさとに帰れたら
大切に大切にするからね
たった一人の家族だから♪

        おばあさん、拍手
おばあさん   「昔とおんなじ、いい声だねえ。(暖炉の上の写真を見ながら)ねえ、ベルナー、お前もそう思うだろう?」
猫たち、顔を見合わせて、何やら反応する。
おばあさん   「そう言えばあのダンスの上手なミケたちはどうしたのかねえ。あの子の踊りも見れたらいいねえ。」
        猫たち、再び顔を見合わせる。
クタクタ    「さて、ブン!どうする?」
ブン      「ダンスの上手なミケたち?確か、悪猫団にもいたよな!」
          暗転
舞台袖で、相談する、ブンとクタクタ、それにガラガラたち。

第六場  猫踊る

おばあさんの家
      おばあさんを前にして、猫たちのダンス

踊り歌・猫のダンス
     
     【ガラガラのダンス曲と同じダンス音楽、猫の動きのダンス】
(さあ、お待ちかね。私のダンス、見てくれる?みんな手拍子!)


     

おばあさん   「まあ、なんと、みんな帰ってきてくれたんだねえ。楽しいねえ。1,2,3,4,5,6・・・一匹足りないねえ。誰がいないのかね。そうだ!あの黒猫のクロが見当たらないじゃないか。これで、あのクロが戻ってきてくれたら、私しゃ、思い残すことはないんだがねえ。」
         おばあさん、出て行く。猫たち、残って相談
ブン      「バサラが生きてりゃ、何の問題もなかったんだがなあ!(みんなを見て)もう在庫はないしなあ。」
クタクタ    「いい方法があるよ。ブン、ほらあそこに暖炉があるだろ。暖炉には何がある?」
チョビヒゲ   「真っ赤な炎!」
クタクタ    「違うよ、真っ赤な炎が燃えたあとには、何が残る。」
カイゾク    「真っ黒な炭が残る。ああ、そうか、誰かがその炭を塗って、クロになりゃあいいんだ。」
ブン      「いったい、誰が、黒猫に?」
猫たちいっせいに、ブンを指差す。
ブン      「わかったよ。やればいいんだろ、やれば。」
         ブン、暖炉に飛び込む。出てくると、黒猫に変身。
ブン      「どうだい、これで。」
         おばあさん、入ってくる。
おばあさん   「これは、どうしたことだい。クロまでもどってきてるじゃないか。うれしいじゃないか。これで昔とまったくおんなじだね。おや、クロが戻ってきたと思ったら、今度はシロがいないね。シロ、シロや!」
         ブン、慌てて小麦粉の袋に、そしてシロに変身
おばあさん   「シロ、どこに行っていたんだい。ほら、お前の大の仲良しだったクロが・・・あれ、今度はクロがいないよ、クロ、クロや!」
         ブン、再び慌てて暖炉の中に、そして黒猫に変身して、よたついて出てくる。
おばあさん   「そんなところにいたのかい、ほら、お前の大好きなシロだよ、あれー?また、いないよ。シロ、シロや!」
          ブン慌てて暖炉に行こうとして、間違いに気づき、小麦粉の袋に向かう。
おばあさん   「まあ、いいよ。シロはどこかに隠れているんだろう。あれは、はずかしがりやだったからねえ。」
         おばあさん、出て行く。猫が残る。
ブン      「今、おいらはシロかい、それともクロかい。自分が何色しているか、わかんなくなっちゃうよ。」

第七場  聞き込み調査

おばあさんの家
(ドアのノックの音)
おばあさん  「おや、誰かね。珍しいね、この家にお客様かね。(ドアに近づき)どなだですか?」
ベルナール  「こちら悪猫団対策本部からまいりました。少しお聞きしたいことがありまして。」
(家の猫たち、その声を聞き、すばやく隠れる)
(おばあさん、ドアを開ける。ベルナール、フレデリク、犬二匹が入ってくる)
ベルナール  「私は悪猫団対策本部の本部長、ベルナールです。」
おばあさん  「それで、ご用件は?」
フレデリク  「私共は町の市場で盗みを働く、悪猫団たる猫たちを探しております。」

歌・悪猫団対策本部の歌
     
     【コミカルに、リズムよく】
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪
(我々は、悪猫団対策本部から参りました)
♪ようやく平和になったのに
どろぼう猫が現われて
苦情殺到、みんなに怒られ
大の大人がのら猫退治♪
(それは、それは、ご苦労様)
(ありがとうございます、頑張ってます・・・)
♪悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
ここかと思えばまたあちら
悪猫団はずるがしく
なかなかなかなか、つかまえられない
今日も時間がむなしく過ぎる
悪猫団、悪猫団はどーこだ?
悪猫団、悪猫団はどーこだ?♪

ベルナール  「まさかと思いますが、お宅で悪猫団をかくまっているようなことは?」
おばあさん  「猫は一緒に暮らしていますよ、ほら!あら?どこに行っちゃったのかしら?でもうちの猫はずいぶん昔から暮らしていて、とてもお行儀のいい優しい子たちですよ。」
ベルナール  「そうですか、わかりました。もし悪猫団を見つけたら、すぐご連絡をお願いします。」
       (悪猫団対策本部、ドアを出ていく)
(猫たち現われる)
おばあさん  「お前たち、どこに行ってたんだい。またどこかに行ってしまったんじゃないかと心配しましたよ。」

第八場  うそのばれる日

おばあさんの家

歌・幸せな日々
     
     ♪人はこんな私のことを
一人暮らしのおばあさんとして
とても心配し親切に
声をかけてくれるけど
どうか心配しませんように
私は少しもさみしくない
だってみんながいてくれる♪
(どうしたの、涙っぽくないかね)
(ほら、そんなとこにゴミをつけて)
♪猫はとっても気ままに生きる
一人暮らしのおばあさんにとって
気ままに生きる猫は
お話し相手にちょうどよく
心がとっても落ち着くの
喧嘩はしない仲よくね
だってみんな家族でしょ♪
(お前たち、長生きするんだよ、きっと今にいいことがあるからね)
♪いつまでも続いてほしいこの幸せの日々
いつまでも続いてほしいこの幸せの日々♪

ガラガラ   「ねえ、クタクタ、最近ブンの顔、変わったと思わない?」
クタクタ   「そういえば、顔が白になったり、黒になったり・・・今は、おお、白だよ。」
ガラガラ   「そうじゃなくって、何かおだやかなっていうか、特に目が変わったのよ。」
ブン     「よせやい!おいらはまったく同じさ。なにも変わってはいないさ。」
クタクタ   「それじゃ、まだブンは、おばあさんをからかっているつもりかい?それにしては、ずいぶん熱心にやってるようだけど・・・ねえ、みんな!」
ブン     「正直に言うけど、みんな怒らないかい?」
カイゾク   「何だよ、ブンらしくないぜ。ブンがなに言っても俺たちが怒るわけないじゃないか。」
ブン     「最初はさ、ほんと、からかうつもりだったんだよ。でも、おばあさんといっしょにいると、どこか心がほんわかしちゃってさ。だって、いっしょにいると、おばあさんだって元気が出るようだし。」
クタクタ   「実はね、俺たち最初からブンの気持ち、わかっていたんだ。」
チョビヒゲ  「ブン!ブンの思うように!かまわないから、ねっ!」
ブン     「ありがとう!みんな!」
        おばあさんの声
おばあさん  「クロや、クロ!」
ブン     「今、何色?」
猫たち    「白!」
ブン     「それじゃあ、暖炉だあ!えーい!」
クタクタ   「ま、待て、暖炉にはまだ火が・・」
        ブン、暖炉に飛び込んで
ブン     「えっ、火って?・・・もう、遅いよ!・・・か、か、火事だあー!」
        ブン、煙を出しながら暖炉から飛び出してくる。おばあさん、騒ぎを聞きつけてかけつける。
おばあさん  「これはえらいこと!クロが燃えているよ。クロ、お待ちなよ。いま火を消してあげるから・・」
        おばあさん、バケツに水を汲んできて、ブンにかける。火が消え、おばあさんの目の前に灰色の猫が現れる。
おばあさん  「火傷は、けがはないかい、クロ!ん?お前は、クロじゃないね。これはいったいどういうことかしら。」  
        おばあさん、しばらく考えて真相に気づく。
おばあさん  「そうかい、そうかい、お前たちはこの寂しい私のことを思って、昔飼っていた猫になりすましていてくれたんだね。やさしい子達だねえ。いいんだよ、出て行かなくて、お前たちは今日から私の大事な猫だよ。」
猫たち    「にゃー!」

第七場  市場でのお買い物

町の市場

ミレーニ   「お前さん、あれから一ヶ月もたつけど悪猫団の連中、来ないねえ。あんまり警戒が厳しくなったので、町をでていったのかねえ?」
ジェラール  「なんか寂しくないか、あいつらが店に盗みに来てたころはよ、何か生活にメリハリがあったっていうか、充実していたっていうか・・・」
ミレーニ   「お前さん、馬鹿言うんじゃないよ!でも、みんなとの話題も少なくなっちまったし、ちょっとは寂しいかな、ははははは(笑い)」
        ベルナールとフレデリクが犬を連れて登場
フレデリク  「本部長、それにしても暇ですね。悪猫団が一向に現れませんが、いったいどうしちゃったんでしょうか。」
ベルナール  「君も、二十年に一度は、いい質問をするね。私らが毎日、こうして警戒する効果が表れた・・・ということしか、理由はかんがえらないじゃあないか、フレデリク君。」
フレデリク  「じゃあ、私も念願の税務課に転属ができるのでしょうか?」
ベルナール  「ああ、そして私も動物園園長への道が開けるのだ。」
フレデリク  「動物園園長?」
ベルナール  「そうだ、私の子供のころからの夢だ。実は私は動物が大好きなのだ。」
フレデリク  「ああ、それで、とどのような奥様を・・・」
ベルナール  「とど?ありゃ、水族館にしかおらんぞ。ま、いいか。」
        ベルナール、市場の人たちに声をかける。
ベルナール  「みなさーん、悪猫団対策本部のベルナールでーす。悪猫団は私たち対策本部の日夜にわたる警戒におそれをなして、もう二度と現れないでしょう。あの日、私がお約束したことを覚えていますか。ほら、魚屋のおじさん!覚えてますか?そして、あなたが何て言ったかも覚えていますか?」
ジェラール  「悪猫団対策本部の大船は、藁の船・・・いや、藁の船も、しっかり作れば沈まないってことで・・・」
イザベル   「ともかく、悪猫団はいなくなっんだしい、いいじゃないか、もうそんなことはさあ。」
ルアーナ   「そうともさ、私たちも安心して商売できるし、あんたたちだって、もっと楽しい仕事につけるんじゃないか?わんちゃんたちも、うれしいだろ?」
パオン、ピラト「わん!」

歌・平和な空の下
     
     長かった戦争もようやく終わった)
(生きるためには、とにかく食べ物)
(それに着るもの!)
(市場が元気を出せば、みんなも頑張れるさ)
♪ここは市場、町の市場
戦争が終って青空が戻ってきた
つらい思い出、心の傷は
簡単に消えはしないけど
とにかく平和な空の下
市場は人であふれてる♪
(さあ、どうだい!うまい魚が入ったよ)
(この帽子、みてごらんよ!おしゃれだろ)
♪ここは広場、町の広場
戦争が終わって笑顔が戻ってきた
昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪
(そこのおねえさん、花、一輪買わないかね)
(・・・・・)
(わかったよ、持っていきなよ、サービスするよ)
♪昨日より今日、今日より明日
希望の歌は響くはずさ
やっぱり平和な空の下
市場は笑顔があふれてる♪

     歌と踊りの途中で、おばあさんと猫たちが登場し、いつの間にか猫たちも踊りに加わる。
     犬たちが猫に気づいて、フレデリクに知らせる。
フレデリク 「本部長、本部長、あれは悪猫団に似ていますが・・・」
ベルナール 「まさか!そういえば、あの灰色猫のふてぶてしさ、どっかでお目にかかったような・・・」
ミレーニ  「ほら、あの悪猫団よ。はやく捕まえなさいよ。」
ベルナール 「フレデリク!一網打尽にするのだ!」
       フレデリク、犬をけしかけて猫を捕らえようとする。
おばあさん 「お待ちなさい!あなたがたは私の可愛い猫たちをどうするつもりなんですか?」
ベルナール 「失礼ですが、この猫たちはあなたの飼い猫ですか?悪猫団の猫ではないのですか?」
おばあさん 「悪猫団?そりゃいったい何者でしょうか?この猫たちは私が五年も前から、家族として一緒に暮らしているのですよ。その猫たちをどうするおつもりなのでしょうか?」
ベルナール 「どう見ても、この猫たちはあの悪猫団ですよ。」
フレデリク 「そうですよ、本部長。この猫(ブン)のこの毛並み、絶対間違いありませんからね。」
(パオン、ピラト、猫たちのにおいをかぎ、首をかしげる)
パオン   「どうだ?悪猫団か?」
ピラト   「ごめん、ブタクサの鼻アレルギーで、においがわからない」
ミレーニ  「本部長さん、このおばあさんのこと、ずっと前から知っているよ。」
ジェラール 「そうだよ、いつもたくさんの猫連れてきたから、この猫たちじゃないよ、悪猫団は」
イザベル  「だってもう一か月も悪猫団は現われないじゃないか?」
ルアーナ  「きっとどこかの町に行ったんだろうよ、悪猫団対策本部が怖くてさ」
ベルナール 「いや、あまりに似ているものですから、つい。」
ミレーニ  「みてごらん、悪猫団より、ちょっとは上品な顔をしているでしょうが・・」
ベルナール 「申し訳ありません。どうやら、人、いや猫違いだったようです。どうぞ、お買い物をお続けください。」
       クタクタが魚を盗もうとするが、ブンがそれを止める。市場ににわか雨が降り始める。
おばあさん 「おや、にわか雨だね。すぐやみそうだけど、雨があがるまで魚屋さんのテントに入らせていただきましょうか。いいわね、魚屋さん!」


第八場  虹の空(フィナーレ) 

町の市場

おばあさん  「ほら、もう雨があがったようだね。あんなに真っ青な青空、久しぶりに見ましたよ。」
ミレーニ   「虹よ、虹が出てる。お前さん、ほら早く、ごらんよ。」
ジェラール  「おお、空を見上げることすら忘れていたような気がする。世の中にはこんないいもんも、あったんだなあ。さあ、猫ちゃんたちも見てごらん。」

歌・虹を思い出して
     
      ♪灰色の雨あがりにはいつも
本当は虹が光っていたはず
灰色がおおう時代には
誰も虹を見つけられなかった
本当のことと同じように
灰色の時にもきれいな虹は
広がっていたはずさ
今、平和な時が来て
人はみな空を見上げる
そして虹を思い出す

     灰色の心の中にも
本当は虹が残っているさ
見えないものとあきらめて
忘れてしまっていただけさ
本当のことを言えなかったけど
灰色の時にも正しいものは
心の底にあったはず
今、平和な時が来て
人はみな空を見上げる
そして虹を思い出す

さあ、これからはしっかりと
心の中の虹のこと
忘れず見つめて話そうよ
あの灰色のあの時を再び
迎えることがないように
いつも虹を思い出そう
いつも虹を思い出そう♪

終演
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  1. 2016/08/24(水) 10:41:31|
  2. BUNのものがたり
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金のおの、銀のおの

ミニミニミュージカル
『金のおの、銀のおの』スタッフ用


平成二七年一月十二日
第一稿
平成二七年三月五日
第二稿
平成二十七年三月十五日
第三稿
平成二十七年四月十五日
第四稿
平成二十七年五月十五日
第五稿
平成二十七年六月二十五日
第六稿

原作:イソップ寓話集

脚本:トーマス・オマリ


キャスト
正直なきこり アレコス ユーリック永扇
正直なきこりの妹 エレナ ユーリック莉沙
なまけもののきこり トマス ユーリック武蔵
なまけもののきこりの母 テオドラ ユーリック知子
泉の精 瀧澤亜美
司会と村の娘 海野日和

テーマ  「正直であることと友達の大切さ」


♪(オープニング)・・・村のテーマ
        (村の娘登場)
村の娘 みなさーん、こ・ん・に・ち・は。今からオレンジペッパーズのミュージカル、「金のおの、銀のおの」が始まるよ。この話、知ってる?
ねえ、知ってる?・・・ふうん、知らないの?ま、とにかく、最後まで観てね。
ここは、山の山のまた奥の小さな村。この村には、二人のきこりがいて、幼馴染で大の仲良し・・・一人は、馬鹿の付くほど正直なきこり、名前はアレコスで、身体の弱い、妹エレナと一緒に暮らしている。もう一人のきこりは、どこで育て方を間違えたのか、うそつきで怠けもの。トマスっていう男。欲張りな母親と一緒に住ん
でいるんだけど・・・・・
母親 実は、その母親ってのが、この私さ。(何か、文句ある?)・・・おや、そこに正直者のきこり、アレコスが現れた。まだ、朝、こんなに早い時間なのに、相変わらず働き者だねえ。

(母親、はける。アレコス登場)
♪ 森が待っている

アレコス ♪朝もやにつつまれて
今日も一日が始まる
僕の仕事は森に行き
父さんの形見のこのおので
大きな木を伐って運ぶこと

僕が大きな木を伐れば
森の奥まで光が届き
おかげで森は元気になって
花が咲いて実がなって
動物たちも喜ぶんだ

だから、森は毎日
僕たちきこりを待っている
ほら、聞こえてくるだろう
森が僕らを呼んでいる♪

(エレナ、ふらつきながら登場)
エレナ 気をつけて、行ってきてね。
アレコス エレナ、ダメじゃないか、寝ていなくっちゃ。熱があるんだろう?何もしなくていいから、ちゃんと寝ているんだよ。じゃ、行ってくるよ。
(アレコス、スキップではける。エレナ、弱弱しく手を振って見送る)
(母親、寝ているトマスに向かって)
母親 アレコスはもう森にいっちまったよ。お前もいつまでも寝ていないで、早く森に行って木を伐ってくるんだよ。
♪ 親子の歌

母親 ♪お前が生まれた時にゃ
元気な男の子が生まれたって
そりゃあ、喜んだものだった
働き者で真面目な子に
きっと育つと信じてた

トマス 死んだ父さん言っていた
元気に育てばそれでいい
期待するのはいいけれど
なまけぐせはなおらない
いいかげんであきらめて♪

母親 ほんと、情けないったらありゃしない。
とにかく、起きて、このおので森の木を伐って金を、金を稼ぐんだよ
トマス はいはい、わかりましたよ、行きますよ。
(本当にうるさいんだから)
ただ、もう少し寝てからね。

(森の中、アレコスが木を伐っている)
♪ きこりの歌
アレコス ♪コーン、コーン、コン
コーン、コーン、コン
僕が今伐るこの大木は
僕が生まれるずっと前
森に生まれてたくさんの
花や獣を育てたはずさ
だから僕はありがとうと
心で叫んでこのおのを
一生懸命振り下ろす
コーン、コーン、コン
コーン、コーン、コン♪
(木が倒れる音)
アレコス さあ、倒れたぞ。大きな木だった。
さあ、今日もよく働いた。
妹が待っている。さ、帰ろう。
(片づけをして、肩におのを背負って帰る)
(歩いていて、なにかにつまづき、おのが空中を飛ぶ)
(おのは、森の泉に落ちる。水音)
アレコス ああ、大切なおのが。・・・泉に落ちてしまった。どうしよう。
(泉から、霧のようなものが上がる)
アレコス おや、何だろうか?
(霧の中から泉の精が現れる)
アレコス わっ!出たー!(逃げようとする)
泉の精 これ!待ちなさい。何も恐れることはありません。私はこの泉の精なのです。
アレコス 泉の精?ですか?
泉の精 そうです。何か困ったことでもあったのですか?
アレコス はい、とても困っています。そこでつまづいて、そのはずみに大切なおのを、この泉に落としてしまったのです。あのおのがなければ、明日から木を伐ることができません。
泉の精 それは、さぞお困りでしょう。私が助けてあげましょう。
♪ 金のおの、銀のおのの歌
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとお困りでしょう
だから私が探してきましょう♪
(泉に潜る 水音)
(再び登場、手には金のおの)
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとこのおのでしょう
まぶしく輝く金のおの♪
アレコス いえ、僕のおのは、それではありません
(泉に潜る 水音)
(再び登場、手には銀のおの)
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとこのおのでしょう
鏡のような銀のおの♪
アレコス いえ、僕のおのは、それではありません。すこし錆びた鉄のおのです。
泉の精 そうですか、わかりました。
(泉に潜る 水音)
(再び登場、手には金、銀、鉄のおの)
泉の精 このおのですね、お返しいたしましょう。
あなたはとても正直者です。ご褒美にこの金と銀のおのも差し上げます。(手渡す)
それでは、気を付けて家に帰るのですよ。
さようなら。
(泉の精、泉に戻る)
アレコス ああ、驚いた。でも、おのが戻ってきて良かった。今度こそ、家に帰ろう。
(アレコス、客席に向かって語りかけながら、はける。) 
(村、アレコスが帰ってくる 家の周りを掃除するエレナが出迎える)
(母親、袖で聞いている)
エレナ (元気な声で)お兄さん、お帰りなさい。
アレコス お前、どうしたんだ?身体は大丈夫なのか?
♪ エレナの歌
エレナ ♪不思議だけれどついさっき
雨が止んで霧が晴れ
お空に虹がかかったように
私の心が明るくなって
身体に力がわいてきたの

♪歌ってみたわ 祈ってみたわ
声もしっかり出てきたの
そしたら誰かの声がした
正直者のお兄さんへの
ご褒美ですと聞こえたの

アレコス 泉の精か。感謝します。(エレナを見て)森で不思議な精に会ったんだ。(森での出来事をエレナに伝える それを母親、聞いている)
(母親、自分の家に走って帰り、寝ているトマスを叩き起こす)
母親 さあ、もう夕方じゃないか、寝てる場合じゃないよ。
トマス うるさいなあ、おっ、もうこんな時間か。
何かあったのかい?
♪ さあ、起きて、
母親 さあ、起きて怠け者
お金儲けが待っている
となりのきこりがあの森で
泉で出会った精に
いったい何をもらったか?♪
トマス (えっ、なんだろう。わかんないなあ。)
母親 (なんと、金と銀のおのさ。泉に鉄のおのを落としたら、泉の精が現れてくれたんだとさ)
母親 ♪さあ、起きて怠け者
こんなチャンスはめったにない
明日の朝は早く起き
森の泉を探し出し
鉄のおの投げ込こめば
ようやく我が家もお金持ち
二人 鉄のおのを投げ込めば
ようやく我が家もお金持ち
トマス そうと決めたら、今夜は早く寝るか。
(翌日、森をさまようトマス、ようやく泉を見つける)
トマス この泉か、ようやく見つけたぞ。どうするんだったかな?あっ、そうそう!
(おのを背負い、わざとつまづいておのを泉に放り込む)
トマス (わざとらしく)ああ、困った、困った。大事な金と銀のおのを泉に落としてしまった。困った、困った。
(霧の中から泉の精が現れる)
トマス はい、待ってました。
泉の精 何か困ったことでもあったのですか?
アレコス はい、とても困っています。そこでつまづいて、そのはずみに大切なおのを、この泉に落としてしまったのです。あのおのがなければ、明日から木を伐ることができません。
泉の精 それは、さぞお困りでしょう。私が助けてあげましょう。
♪ 金のおの、銀のおのの歌
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとお困りでしょう
だから私が探してきましょう♪
(泉に潜る 水音)
(再び登場、手には金のおの)
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとこのおのでしょう
まぶしく輝く金のおの♪
トマス はい、それは僕のおのです。もう一つ落としたのですが・・・
(泉に潜る 水音)
(再び登場、手には銀のおの)
泉の精 ♪森の奥のこの泉
あなたが落とした大切なおの
きっときっとこのおのでしょう
鏡のような銀のおの♪
トマス はい、それも僕のおのです。
泉の精 そうですか、わかりました。
あなたは、大ウソつきです。罰として、あなたの落とした鉄のおのは返しません。それじゃ。
(泉の精、泉に戻る)
トマス えっ、そんな!ごめんなさい。許してください。
(泉の精、声だけ、「許しませんよ、早く帰りなさい!」)
トマス 困った、かあさんになんて言おうか。
(トマス、うなだれてはける)
(トマスが、手ぶらで帰ってくる)
トマス とられてしまった。大切なおのを。僕のせいだ。うそをついたから。
(母親、現れる 白髪、杖を突き、腰は曲がって登場)
トマス 母さん、ごめん。うそをついたので、大切なおのをなくしてしまった。・・・・(母親を見て)母さん、どうした?その髪の毛、それに腰もずいぶん曲がってしまって。
母親 (おばあさんの声で)お前が、森に行ったあと、わたしゃ、急に歳をとってしまったんじゃ。
トマス そうか、これも罰なのか?
(アレコスとエレナが現れる)
アレコス どうか、したのか?
トマス 森の泉のこと、聞いてしまったんだよ。そこで、お前と同じことをやって、金と銀のおのを手に入れようとして、罰を受けたんだ。大切なおのをなくし、母さんはこのとおり、こんなに歳とってしまって。
エレナ かわいそうな、おばあさん。いえ、おばさん。
ねえ、お兄さん、助けてあげて。
トマス 僕が悪かった。心を入れかえるから、助けてほしい。お願いだ。友達じゃないか?
アレコス わかった、すぐあの泉に行ってお願いしよう。
エレナ 私も行く。
母親 (私も行くというポーズ)
アレコス さあ、決まりだ。あの泉に行こう。
(みな、花道を進む 日が暮れて暗くなる)
(泉のほとりにつく)
母親 まだかね、その泉は?
アレコス 確か、このあたりだったと思うけど。
トマス そうだ、この木、見覚えがある。
アレコス ここだ、ここだ。そこに泉がある。
エレナ この泉?
アレコス そうこの泉だ。泉の精を呼んでみよう。
アレコス・トマス
お願いです。出てきてください!
♪森の奥のこの泉に(音楽だけ)
(泉から泉の妖精が眠そうに現れる)
泉の精 何の御用ですか?
アレコス お願いがあります。どうかトマスの母親を元通りにしてあげてください。それから鉄のおのも返してあげてください。
泉の精 それはむずかしいですね。
トマス 今日から、心を入れ替えますので、助けてください。
アレコス どうか、ぼくからもお願いします。おのを返してあげてください。僕がもらった、金と銀のおのはお返ししますから、エレナが元気になっただけで僕は幸せです。だから、トマスのおのを返し、お母さんを元にもどしてあげてください。
泉の精 ・・・・そうですか、わかりました。その友達を思う気持ちに免じて、今度だけは許してあげましょう。金と銀のおのは受けっとっておきます。(おのを受け取り、鉄のおのをトマスに渡す)
トマス 明日から、いや今の今から正直にそしてしっかり働くようにいたします。
泉の精 (母親の白髪を取る)もう、腰は伸びるはずですよ。声だって戻っていますよ。
母親 (腰を伸ばし、音階を声に出す)治った、声も戻った。
息子も真面目になって、本当にありがとうございます。
泉の精 それじゃ、みなさん、気を付けてお帰りください。もうすぐ夜もあけますよ。
(泉の精、はける)
トマス (アレコスに向かって)ありがとう、明日から一緒に森に行ってくれる?
アレコス もちろん、頑張って働こう。
母親 (トマスに向かって)お前、本当に心をいれかえたんだろうね。もし、それがうそだったら、私はまたおばあさんになっちまうからね。
トマス 大丈夫だよ、母さん。しっかり働くよ。
母親 うれしいねえ、私ももう、そんなに欲張らないことにするよ。みんなのおかげだよ。ありがとう。
アレコス さあ、東の空が明るくなってきた。陽が上る。家に帰ろう。
♪(フィナーレ 陽が昇る)♪

全員 ♪陽が昇る
夜が明ける 陽が昇る
  森はいつもの朝を迎える
でも僕たちには、私たちには
いつもと違う朝なんだ
さあ朝日を浴びて元気よく
歌を歌って家に帰ろう

きこりにとって必要なもの
金でも銀でもない鉄のおのさ
私も元気をとりもどし
トマスのおのも帰ってきた
さあ朝日に向かって元気よく
歌を歌って家に帰ろう

僕は昨日までの僕じゃない
真面目に頑張って木を伐るよ
母さんだって、変わるわよ
欲張りなんて言わせない・・・つもり
朝の光をいっぱい吸って
歌を歌って家に帰ろう

さあ朝日を浴びて
さあ朝日に向かって
朝の光をいっぱい吸って
歌を、歌を歌って家に帰ろう♪







母親 これで、お話はおしまい。
面白かった?
(お客の反応をみてアドリブ)
MC なまけもののきこりさんも、朝、早起きして、嘘をつかず、そして一生懸命に働き、人の役にたつようになって、良かったね。
おやさまは「朝起き、正直、働き」の三つを守るように教えてくれました。みんなは、どうかな?働き者のきこりさんになれるかな?
      
♪(陽気に暮らそう )♪

悲しいとき 歌ってごらん
きっと笑顔が戻るはずさ
涙だってすぐ乾く

歌って踊って
みんなで暮らせば陽気な気分
みんなみんな陽気な気分

それじゃ、ここでキャスト、出演者を紹介するね。
まず、正直なきこりアレコス・・・永扇
次は、正直なきこりの妹エレナ・・・莉沙
それから、うそつきで怠け者だったきこりトマス・・・・・武蔵
欲張りだった・・・トマスのお母さん 知子。
泉の精・・・亜美。
そして、村の娘と司会は・・・日和でした。

今日は、オレンジペッパースのミュージカル。
最後まで観てくれてありがとう。

また、会おうね。それじゃ、バイバーイ。

  1. 2016/08/24(水) 10:27:31|
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はだかの王様

ミニミニミュージカル
『はだかの王様』


平成二六年三月十六日
第一稿
平成二六年五月五日
第二稿
平成二六年六月二日
第三稿
平成二六年六月十三日
第四稿
平成二六年七月一日
第五稿
平成二六年七月四日
第六稿
平成二六年七月十四日
第七稿



作者名:トーマス・オマリ


キャスト
王様 ユーリック武蔵
いかさま洋服屋 女 ユーリック知子
いかさま洋服屋 男 コディー・ペティット
王女様 ユーリック莉沙
大臣 ユーリック永扇
家来 瀧澤 亜美


テーマ  「仲良く助け合います」


♪(オープニング)・・・ファンファーレ
      (大臣・家来、登場)
大臣 毎日、暑いな。こんな日は、プールに入って泳ぎたいとは思わないか?
家来     まったくです。みんなは、今年、海水浴とかプールに行った?・・・そう、行ったの?いいなあ、はだかになって泳げば最高だよね。
    今日の話はね、そのはだかの話。どんな話だろうね?楽しみだね。
大臣 私?私はこの国の大臣!
家来 そして私はこの国の王様にお仕えする家来なのさ。この国の王様、いい王様なんだけど、ちょっと困ることがあるんだ。何に、困ってるかって?
(家来と大臣の歌)
家来 ♪そんなに豊かじゃないけれど
平和でみんなが笑顔で過ごす
小さな小さなこの王国で
お城の人や国民が
みんな、心配、そのわけは
王様、とってもおしゃれ好き
(気に入った洋服作るのにどれだけお金を使ったか)
大臣 もうすぐ王女様の誕生日
お城のバルコニーで国民から
王女様といっしょにお祝い受ける
その時に着る洋服は美しい洋服
この世で見たこともない美しい
ものを作れとのご命令
♪(転換)・・・王様のテーマ


(幕が開く 王様、王女登場)
王様 (家来に向かって)どうだ、私の洋服はできそうか?
この王女の十三歳の誕生日に、アッと驚くような洋服を国民に見せるんだからな。
王女 お父様!私の誕生日ですから、主役は私です。お父様の洋服は、どうでもいいではありませんか?
王様 ・・・黙るのだ、王女。私たちの洋服は自分のためだけではないのだ。第一、お前の洋服はすでに立派なものを用意したではないか?
(王女・王様の歌)
王女 ♪普段はやさしいお父様
私の願いはかなえてくれる
私の話も聞いてくれる
そんなそんなお父様なのに
どうして洋服の ことになると
変わってしまうの 性格が
王様 どうしてわかってくれないのか
いつも言っているではないか
私の服は、国民に
私の力を示すため
そんなそんなことをするのも
国を国民を守るため
幸せ目指す ただそれだけだ

王女 私には、よくわかりません。
(王女、去る)
王様 ・・・(家来を見て)何をうなずいているのだ?
家来 (手を横に振る)
王様 王女の誕生日まであと二週間。
しっかりと、間に合わせるのだぞ。
(王様、去る)
(大臣、登場)
大臣 困ったことになった。王様が満足できる洋服を作れそうな洋服屋は、この国にはおらぬ。
さて、どうしたことやら。
家来 大臣様、実は今、町で素敵な服を作る洋服屋がいるとの噂が広まっております。
なんでもその洋服屋が作る服は、およそ今までこの世で見たこともない美しいものだとのことです。
大臣 そうか、それでは、その洋服屋に行ってみようではないか。それを王様が気に入れば、すべて解決する。
♪(転換)・・・いかさま洋服屋のテーマ

(町の洋服屋)
♪(いかさま洋服屋)

男 流れ流れて、この国に来た(そうだよ、遠くから来たんだよ)
おしゃれ大好き、気に入った服には(キラキラしたきれいな服さ)
どんな大金でも払います(いいじゃないか、それ)
そんな王様がいるという(馬鹿な王様だね)
人のうわさを聞いたから(本当なんだろね、それって)

女 誰でも自分の心には(心、そんなものまだおれたちにあったのか)
確かな自信は持ってはいない(まったく、自信はないね)
そんな弱みに付け込んで(もうそろそろやめないか、こんなこと)
不思議な不思議な洋服を(不思議と言えば確かに不思議だ)
作って売って大儲け(へたをすると牢屋行きだよ)♪

女 不思議な洋服・・・それはね、「きれいな心を持った人にしか、見えない洋服」のことさ。世界であんた一人だけが作ることができるのさ。
男 ねえ、やめようよ、真面目な洋服屋に戻ろうよ。
女      ・・・馬鹿言うんじゃないよ!せっかく遠くまで来たんだ。大儲けするんだよ!この国の王様にあの服を売って、早くこの国ともおさらばするのさ。
(大臣、家来、登場)
女 ほら、早速飛びついてきたじゃないか。

大臣 これ、洋服屋。
女 はい、なんでございましょ。
大臣 お前は、洋服屋か?
女 はい、いえ、洋服屋はあっちにいる私の亭主でして、わたしはマネージャーでございます。
大臣 そうか、私はこの国の大臣である。一緒にいるのは・・・
家来 はい、家来であります。
男 大臣様、家来様、今日は何の御用でございましょ?
女 お前さんは、黙っておいで。私が聞くから・・・今日は、何の御用でございましょ?

♪(注文の歌)

大臣 もうすぐ王女様の誕生日
毎年、めでたいその日には
王様、王女様お二人が
お城のバルコニーで国民から
誕生日のお祝いを受けるのだ
女 (それは、それはおめでとうございます)
家来 王様はとってもおしゃれ好き
毎年、めでたいその日には
みんな見たことないような
きれいな洋服を作らせて
着るのが決まりとなっている
女 (じゃあ、その洋服を?)

大臣 そうだ、この国の王様が、洋服を所望・・・つまり欲しがっておるんじゃ。この世に二つとないきれいな洋服を、しかも二週間以内にな。
男 二週間?そんな短い日数で?無理ですよ。
女 わかりました、十日で仕上げます。
ただし、お礼はたっぷり、お願いします。では、早速、王様の体の寸法を測らせていただきたいのでお城に行かせていただきます。
ああ、それから大事なことを言い忘れていました。ここで作る洋服は、とても不思議な洋服で、きれいな心を持っている人には、あざやかに見えるのですが、そうでない人には、決して見えないのです・・・・・
大臣・家来 (怪訝そうにひそひそ話)二回、うなずく。

♪(転換)・・・王様のテーマ

(大臣、家来、洋服屋男・女登場)
(遅れて、王様登場、大臣以下、頭を下げる)
王様 この者たちが、私の服を作る洋服屋か?
大臣 はい、本日は、王様のお体のサイズを測りに参りました。
王様 そうか、ではさっそく頼むぞ。
(女、男 王様に近寄り、サイズを測り、メモする)
女 王様、本日は、洋服の色やデザインを決めたかったので、見本をお持ちしました。
王様 そうか、その見本はどこにあるのだ?
女 ここにお持ちしてあります。(服を持っているような仕草)
(大臣、あわてて)
大臣 この者どもの作る洋服は、きれいな心を持った人には見えて、そうでない人には何も見えないのです。・・・王様!見えますよね?
王様 ・・・・・そうか、・・・もちろん、見えるとも。
・・・男よ、その一番上の服を広げてみてくれないか?
男 この、赤色に金の模様の入った洋服ですね。
王様 ・・・そう、そうだ、・・・そう赤い服だ。
どうだ、(大臣、家来を見て)もう少し金色が入った方がよくはないか。
大臣・家来 ・・・(お互いに顔を合わせてから二度うなずく)
女 わかりました。ではそのようにお作りいたします。
大臣 約束の日までに、必ず仕上げるのだぞ。
(洋服屋、はける)
王様 (大臣たちに向かって)お前たちにも、当然あれが見えているのだろうな。
大臣 ・・・もちろん・・・
家来 ・・・見えていますとも・・・
王様 そうか、そうか、そうだろうな。服のことは、王女にはくれぐれも内緒にしておくのだ。この間、怒られてしまったし、当日、驚かせてもやりたいからな。

(大臣、家来 花道を回る 舞台転換)

♪(いかさま洋服屋)

(男が、服を作っている・・・ふり)
(大臣・家来 登場)
大臣 洋服屋はいるか?
女 はい、おります。
家来 今日は王女様の誕生日。洋服は出来上がっているか?
女 ちょうどいいところにきていただきました。
袖の飾りを緑にするか深い青にするか、迷っていたところで、それさえ決まれば完成です。
大臣 そうか、そうか。見せてもらおうか。
男 (右手と左手に、袖の飾りを持っている・・ふり)どちらがいいでしょうか?
大臣 ・・・右手に持っている方かな?
男 青ですか?
大臣 ・・・そうだ、青だ。な、家来、青が良いだろう。
家来 ・・・・そうですね、青が良いでしょう。
(つけたふり)
女 さあ、これで完成です。
大変言いにくいのですが、お礼をいただくことはできますでしょうか?
大臣 ん、用意してある。家来よ、渡してあげなさい。
(家来、お礼の金貨が入った袋を、女に渡す)
大臣 早速、お城に戻って、(見えない洋服を受け取りながら)この服を王様に着ていただくこととしよう。

♪水上の音楽♪

(大臣、家来 登場)
大臣 (群衆・・・観客・・・に向かって)今日は、王女様十三歳の誕生日。
家来 王女様のお出ましです。
♪(バルコニー)・・・ファンファーレ
(群衆の歓声の中、王女様の登場)
(歓声、ざわめきは録音)
(王女様、群衆に手を振る)
家来 みな、静かに!!王様の登場です。
(王様、はだかの上にマントをつけ、得意そうに登場)
(観客、ざわめき 観客脇花道、島)
王女 (そのざわめきから王様を見つめて)どうしたの、お父様、その恰好。どうして裸なの?
(大臣・家来に向かって)ね、はだかよね?
(大臣・家来・・・ふたり、大きくうなずき、王様からにらまれ、首を大きく横にふる)
(観客から、声・・王様は裸だ!裸の王様だ!)
王様以外 ♪王様ははだかだ

今日は王女様の誕生日
なのに王様は不思議な服装
何か着ているつもりらしいが
誰もその服みることできない
王様ははだかだ!王様ははだかだ
はだか、はだか、はだかの王様だ

清い心を持っていないと
けしてその服見ることできない
そんな服などあるはずはない
王様はきっとだまされたのだ
王様ははだかだ!王様ははだかだ!
はだか、はだか、はだかの王様だ!

王様 (大臣に向かって)あの洋服屋を捕まえてここに連れてくるのだ。
大臣 (家来に向かって)(群衆の中に逃げようとする洋服屋を見つけ)あそこにいるぞ、逃がしてはならぬ。捕らえるのだ。
王様 この王をだますとは、決して許すことはできぬ。
      (大臣・家来、群衆の中にいかさま仕立て屋夫婦を見つけ、追いかける)
       ♪(転換)・・・いかさま洋服屋のテーマ

♪(転換)・・・王様のテーマ

(王様、王女、大臣、家来 登場)
大臣 王様、あのいかさま洋服屋を捕らえました。
(家来、洋服屋を、王様の前に引き出す)
家来 さて、この二人にどのような罰をあたえましょうか?
王様 お前たち、このようなことをして、ただで帰れるなどとは思っておるまいな。
女 せめて、この人だけはお許しください。みんな、この私が仕組んだことなんです。
男 そうです、みんなこの人がわ・・
・・・いや、私も悪いんです。
王様 だまれ、だまれ!!大臣!すぐにでもこの者たちを牢屋に入れてしまえ。
大臣 わかりました。(二人を連れて行こうとする)
王女 待ってください、お父様。
王様 なんだ、王女、何か不満か?
王女 この二人は、確かに悪いことをしました。
王様 二人のせいで王女の誕生日もめちゃくちゃにされた。
王女 でも、おかげで私たちにとても大事なことを教えてくれたではありませんか?
王様 大事なこと?
王女 そう、お父様は洋服のことにこだわっていましたが、大事なのは中身、人を思いやる心ではないのですか?どんなに着飾っても国民から信頼されなければ何の意味もありません。
王様 ・・・・確かに、そうであった。こんなに洋服にこだわる必要はなかったのだ。これからは自分自身の中身を立派にすることとしよう。
王女 お父様!
大臣 では、この者たちは・・・
王様 私たちに大事なことを気づかせてくれた者たちを罰することはできぬ。
女・男 ありがとうございます。受け取ったお金はお返しいたします。
王様 いや、返す必要はない。ただし無条件で許すということではない。お前たちは、その金を元手に、この国で本当の洋服屋を開くのだ。そして、国民のために安くて丈夫でしかも気持ちが明るくなるような洋服をつくるのだ。
王女 やっぱり、お父様は世界一!
(王様、満足そう)





♪(フィナーレ 物語のそれから)♪


みんな知りたいそれからの話を
(あの洋服屋は?)
心入れ替え 真面目に商売(本当かな?)
安くて丈夫な服を作って
みんなに喜ばれています(相変わらずあの調子か?)

みんな知りたいそれからの話を
(あの王様は?)
おしゃれはやめました(本当かな?)
困ったこともあるお祝いのたびに
バルコニーにはだかで立つのです
(そりゃ、困ったね)

とにかくみんな幸せみたい
笑顔が笑い声があふれている
みんな知りたいそれからの話を
(それはこの次ね)
話には終わりがあるけれども
(やっぱり終わっちゃうのかい?)
終わりはいつもハッピーエンド♪

これで、お話はおしまい。

ここでキャスト、出演者を紹介するね。
♪(陽気に暮らそう )♪

悲しいとき 歌ってごらん
きっと笑顔が戻るはずさ
涙だってすぐ乾く

歌って踊って
みんなで暮らせば陽気な気分
みんなみんな陽気な気分

まず、いかさま洋服屋の女・・・知子。
次は誰かな、同じくいかさま洋服屋の男・・・
コ―ディー。
それから、とってもおしゃれ好きな王様・・・
武蔵。
誕生日を迎えた王女様・・・莉沙。
それから、大臣の・・・永扇。
最後に、家来の亜美でーす。
今日は、オレンジペッパースのミュージカル。
最後まで観てくれてありがとう。

また、会おうね。それじゃ、バイバーイ。
  1. 2016/08/24(水) 10:26:32|
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ねずみの嫁入り

ミニミニミュージカル
『ねずみのお嫁入り』


平成二八年一月二十九日
第一稿
平成二八年五月十九日
第二稿


原作:日本昔話

脚本:トーマス・オマリ


キャスト
ミミ姫(マウス王国のお姫さま) 永扇
ポポ王子(マイスランド国の王子さま) 武
お日様 雅
雲さん 莉沙
風さん 瞳
土壁さん 俊丞
ミミ姫の侍女 司会も兼ねる 亜美

テーマ  「強くて大切な人はそばにいる」

♪(オープニング)・・・マウス王国のテーマ
        (ミミ姫。上手から走って花道を抜け島に)
(追いかけるように上手から召使)
侍女     お姫さまあ!お姫さまあ!お逃げにならないで!お願いです。私が王様に怒られてしまいまうす。
ミミ姫 だから、世界一でなくっちゃいやだって言ってるじゃないの!今から、その世界一のお婿様をさがしに行くの。
侍女 (観客に気づいて)
みなさん、こんにちは。ごめんなさいね、いきなり、騒がしくて。ここはね、マウス王国、つまり、ネズミの国なの。あそこにいらっしゃるのが、マウス王国のお姫様、ミミ姫様。私は、お姫様のお世話をする侍女、早く言えば召使よ。
ミミ姫 本当に、うるさくて、しつこい侍女なのよ。
お姫様のお婿様
侍女 ♪王様が選んだお婿様
マイスランドのポポ王子
立派な立派なネズミの王子
だけど姫様なぜかご不満
ミミ姫 私が夢見るお婿様は
世界で一番のお婿様
いくらネズミの王子でも
世界一には見えないわ
侍女 ほら、そこに王子様
お姫様にはお似合いの
お婿様が見えてまうす♪
(ポポ王子、現われる)
ポポ王子 ミミ姫、やはり僕は世界一ではありませんか?
ミミ姫 ごめんなさい、私はもっと強い、世界一のお婿様を探しにでかけまうすわ。
(姫、王子に頭を下げ、走り去る 侍女、あわてて王子に向かって)
侍女 大変、申し訳ありません、小さな頃から言い出したらなかなかお譲りにならないのです。いえ、私も一緒にお供いたしまうすから、ご安心ください。
(侍女、姫のあとを追いかける)
ポポ王子 まいったな、(観客に向かって)強そうに見えない?見える?なんだって、めちゃ、弱そう?世界一、弱そうだって?まあ、いいか、そうだよね、だってネズミだからな、強いわけないよね。・・・姫のこと、心配だから、こっそりとついていってみるか。気付かれないように。こっそりと・・・
(抜き足、差し足、ネズミ足 抜き足、差し足、ネズミ足と言いながら、追いかける)

侍女 お姫様、なんだか、暑くなってきましたが・・・
(お日様、登場)
ミミ姫 あなたはお日様ね。私はミミ姫。世界一のお婿様を探しているの。お日様、私の世界一のお婿様になっていただけまうすか?
お日様の歌
お日様 ♪これは、これはお姫様
遠いところをありがとう
私はお日様、太陽です
暗い闇だって明るく照らし
寒い冬にも凍えないように
あったかさを届けます♪
ミミ姫 そうよね、あなたは誰からも愛されていて絶対、世界一のお婿様よ。
お日様 ♪これは、これはお姫様
お褒めの言葉をありがとう
私はお日様、太陽です
ほめていただき光栄ですが
私は世界一ではありません
私もかなわないものがいます
それは誰だと思います♪

ミミ姫 お日様より、強い方がいらっしゃるの?(考える)わからないわ。(観客に向かって)わかる?(観客から、正解を引き出す)
侍女 お姫様、ほらあの子が「クモ」って言っていますよ。(蜘蛛の真似をする)これじゃなくて、空に浮かぶ雲?
ミミ姫 どうして、お日様より雲が強いの?
お日様 それはね、私がいくら輝いても、雲さんが出てくれば、私は隠れてしまうんだ。だから、雲さんにはかなわないんだよ。ごめんね、お役にたてなくて。せっかくだから、雲さんの所に案内しますよ。
(お日様、ミミ姫、侍女 雲の所に行く 後ろを、ポポ王子、抜き足、差し足、ネズミ足)

(雲の所に到着)
お日様 やあ、雲さん、元気かい?
雲さん どうもこうもないよ、相変わらずもやもやしているんだ。(皆に気づいて)誰だい?
お日様 ネズミのお姫さまで、世界一のお婿さんを探していて、私を、って、言ってくれたんだけど、雲さんにはかなわないから、ここに連れてきたんだよ。
雲さん じゃ、この僕がこのお姫様のお婿さんに?
ミミ姫 雲さん、お願いいたしまうす、私のお婿さんになってください。
侍女 お姫様、なんだかつかみどころがなさそうな方ですが・・・
雲の歌
雲さん ♪僕は雲、お空をただよい
雪とか雨も降らせます
いくらお日様が頑張っても
僕がひとたび手を広げれば
光はまったくとどかない♪

お日様 だから、お姫様、私よりも、この雲さんの方が、立派なお婿様になりますよ。
雲さん でもね。
雲さん ♪僕は雲、秋の夕暮
空いっぱいのアカネ雲
どんなに僕が輝いても
僕がどんなに手を広げても
僕がかなわないものがいる♪

ミミ姫 お日様より、雲さんより強い方がいらっしゃるの?
侍女 そんな方、いらっしゃるんですか?
雲さん はい、いるのです。(観客に向かって)皆さんは、知っていますね、雲がかなわないもの。
それじゃ、その方のところにご案内いたします。
(お日様、雲さん、ミミ姫、侍女 風の所に行く 後ろを、ポポ王子、抜き足、差し足、ネズミ足) 
(侍女が後ろからついてくるポポ王子に気付く)
ミミ姫 (侍女に向かって)どうか、しましたか?
侍女 いえいえ、なんでもございません、どうぞお先に行ってください。
ミミ姫 ・・・わかりました、お日様、雲さん、行きましょうか。
(一行、進んでいく)
(隠れる侍女。着いていくポポ王子)
抜き足 差し足 ネズミ足の歌
ポポ王子 ♪抜き足 差し足 ネズミ足
抜き足 差し足 ネズミ足♪
(侍女、ポポ王子の後ろから声を)かける)
侍女 ♪やっぱり心配なんですね
付いてきたのはわかります
きれいなきれいなお姫様
どんなお婿様選ぶのか
ポポ王子 心配なんかしていません
少し興味があっただけ
きっと立派なお婿様
巡り合えると思います
侍女・ポポ だから だから だから
抜き足 差し足 ネズミ足
ネズミは静かに進みます
抜き足 差し足 ネズミ足
音もたてずに進みます♪

侍女 しかたないですね、見つからない様に着いてきてくださいね。
ポポ王子 はいはい、わかりました。
(風がいる。風袋を持っている)
風さん やあ、お日様に雲さん、おそろいで何の用事ですか?
雲さん (ミミ姫たちを指さして)・・・・という訳なの。
風さん ・・・なあるほど。そういうことか。
お日様 わかったの?今の説明で?
風さん こんにちは、僕は風です。いろんなものを吹き飛ばします。
雲さん だから、僕がどんなに手を広げても、風さんがヒューと吹けば、僕はどこかに吹っ飛んでいくのです。
ミミ姫 わかりました、どうか私のお婿様になってください。
お空の三人組の歌
三人 ♪僕らはお空の三人組
お日様 私はお日様、光を届け
みんなの気持ちを暖かくする
雲さん 僕は雲さ、日陰をつくり
やすらぎの時をつくるのさ
風さん 僕は風さ、そっと吹いて
働くみんなの汗を乾かす
三人 そうさ、僕らはお空の三人組
三人そろえば楽しいお空
風の吹く日も曇りの日も
青空にお日様輝く日も
楽しいお空は僕らが作る♪
ミミ姫 三人組は、よくわかったけれど、結局風さんが一番強くて、私のお婿さんになってくださるの?
(土壁が現れる。その後ろには、ポポ王子が隠れている)
土壁 ちょっと待ったあ!お空の三人組?風さんが一番強いんだって、笑わせちゃいけないよ。
お日様 おやおや、その声は土壁さんか?
土壁 さっきから、あっちで聞いていたら、なんだって?お日様より、雲さんが強く、雲さんより風さんが強いって?だから、世界一のお婿さんは風さんだと?
侍女 そ、そうですよ。今の所、風さんが一番強い世界一のお婿様です。
ミミ姫 あなたは何です。いきなり出てきて、失礼じゃありませんか?あなたのようなご無礼な方、私は大嫌いです。何かご不満ですか?
土壁 はいはい、不満だらけですよ。(風さんを見て)おいおい、風さんよ。何をびくびくしてるんだい?
風さん お姫さま、ごめんなさい。僕は世界一ではないのです。
ミミ姫 それはどういうことですか?
風さん 僕がどんなに頑張って吹いても、この土壁さんにはかなわないのです。だから、僕は世界一ではないんです。
土壁 という訳だ、わかったかね、お姫様。 お日様は、雲さんが出てきたら隠れてしまうし、雲さんは風さんがちょっと頑張れば、蜘蛛の子を散らすようにどこかに飛び散ってしまう。その風さんもこの俺様、土壁さんにはかなわない。 だから俺様が、世界一のお婿様になるってこと。
ミミ姫 やっぱり、いやだわ、この性格。
三人組の歌
三人 ♪残念だけど、僕らの負けさ
土壁さんにはかなわない
風さんどんなに吹き荒れても
土壁さんはびくともしない
せっかく僕らを訪ねてくれて
お婿さんにと言ってくれたけど
世界一にはなれないんだ

残念だけど、僕らの負けさ
土壁さんにはかなわない
僕らが一緒に頑張っても
土壁さんはびくともしない
僕らの誰かが花婿に
なれると思っていた
でも土壁さんにはかなわない

侍女 お姫様、こうなれば逃げましょ、お城に帰りましょ。
ミミ姫 それは、いい考えね、では早速。
(ミミ姫、侍女 逃げる 土壁、さえぎる万事窮す)
土壁 逃げても無駄です。なんせ、俺様が世界一強いのですから・・・(ポポ王子、土壁をかじる)
ん?痛いぞ、痛いぞ、いていていていてててててて!誰だ、俺様をかじっているのは?
ミミ姫 (ポポ王子を見つけて)ポポ王子!
侍女 おや、王子様、こんなところに、いつから?
土壁 (お日様たち、ミミ姫たちに向かって)助けてくださいよ、このネズミ、俺様の腹のところ、かじっていやがる。お願いですよ、このネズミにやめるように言ってくださいよ。
風さん おやおや、土壁さんもかなわない相手がいたようですね。
お日様 そうですね、ずいぶんかじられてますね。
ミミ姫 ポポ王子様、土壁さんも反省しているようですから、許してあげてください。
(ポポ王子、かじるのをやめて前に出てくる)
土壁 助かった、助かった。みなさんのおかげです。これからは、決して自分が一番だといばらずに、自分のやるべき仕事に励むことにいたします。自分もネズミさんにはかないません。
雲さん それじゃ、このネズミさんは土壁さんよりも強い、世界一ってことになりますね。
侍女 そう、そういうことになります。
世界一のお婿様は、やはりネズミ、しかもポポ王子様です。
ミミ姫 ポポ王子、私の考えが浅かったようです。世界一のお婿様はやはりあなたです。私をお嫁さんにしていただけまうすか?
ポポ王子 もとより、そのつもりです。私ももっと強くなって、立派なお婿さんになりまうす。

おめでとう
お日様など ♪おめでとう、ミミ姫、ポポ王子
二人はとってもお似合いです
これから二人はお城に戻り
結婚式を挙げるのです
姫・王子 旅の途中で出会ったみんな
お世話になってありがとう
約束します幸せになると
素敵な家庭を作りまうす
お日様 私のように暖かく
雲さん 雲のようにやわらかで
風さん そよ風みたいにやさしくて
土壁 壁のように堂々と
お日様など そんな家庭を作ってほしい
僕らはずっと応援します
全員 大事なものって、本当は
とても近くにあるもので
ほら、隣をみてごらん
大切な人がそこにいます
全員 おめでとう
ありがとう
ほら、周りをみてごらん
周りみんな大切な人♪

侍女 これで、お話はおしまい。
面白かった?
(お客の反応をみてアドリブ)
      
♪(陽気に暮らそう )♪

悲しいとき 歌ってごらん
きっと笑顔が戻るはずさ
涙だってすぐ乾く

歌って踊って
みんなで暮らせば陽気な気分
みんなみんな陽気な気分

それじゃ、ここでキャスト、出演者を紹介するね。
まず、あったかなお日様・・・雅
次は、お日様より強い雲さん・・・莉沙
それから、その雲さんもかなわない風さん・・・瞳
ちょっと意地悪だった土壁さん・・俊丞
最後頑張ったポポ王子・・・武
世界一のお婿さんをゲットしたミミ姫・・永扇
そして、侍女、召使と司会をやった・・・亜美でした。

今日は、ミニミュージカル。
最後まで観てくれてありがとう。

また、会おうね。それじゃ、バイバーイ。
  1. 2016/08/24(水) 10:25:19|
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王様の耳はロバの耳

ミニミニミュージカル
『王様の耳はロバの耳』




平成二四年一一月六日
第一稿
平成二五年一月五日
第二稿
平成二五年三月一一日
第三稿



作者名:トーマス・オマリ


キャスト
王様
床屋の若者
床屋の母親
町の医者
羊飼い
家来







♪(オープニング)・・・ファンファーレのような音楽
      (司会、登場)
家来 さてさて、みんな、こんにちは。夏休みだね!宿題、いっぱい出た?・・・・まあ、がんばって片付けてね。それはそうと、このわたしはだな、今から始まる物語に出てくるちょっと変わった王様の家来であーる・・・よ。
(家来の歌)
♪今から始まるお話は
みんな誰でも知っている
いつでも帽子をかぶってる
王様が出てくるお話なんだ
(これで、何のお話かわかるだろ?)
帽子は耳をかくすため
それも普通の耳じゃない
帽子にかくしたその耳は
なんと、なんとロバの耳
(パンの耳じゃなーい!ロバの耳!!)♪
そう、「王様の耳はロバの耳」が今日のお話。
みんなの拍手がミュージカルを始める合図になっているのだ、さあ、大きな拍手を!!
♪(床屋場転)♪
さてここは、町の床屋さん・・・なのだ。(町の床屋、若い床屋が暗い顔)
床屋の若者 あ~あ、とうとうこの町の床屋は、僕、一人になってしまった。
♪(床屋場転)♪
      ♪町には、たくさん、床屋がいたけれど 
       順番にお城から迎えが来て
       不思議なことに誰一人
       町には帰ってこなかった
       (僕はこの町でたった一人の床屋!)
       王様の頭を散髪するため
       お城に呼ばれた大勢の床屋は
  生きているか、死んでいるのか
       いずれにしても次は僕♪
      (僕!? 僕!? いやだあ!)
家来     これ!これ!お主は床屋であるか?
床屋 いらっしゃいませ、さて、どのような髪型に?
家来 そうだな・・・いや、そうではない。わたしは王様の家来である。今日は、お主を迎えにきたのだ。
床屋 きえーー!!!今日は、ちょっと用事がありまして・・・
家来     これは、王命である!!聞けぬとならば、(くびを切る動作) 
床屋    ・・・わかりました・・・ついて行けばいいんでしょ、ついて行けば・・・
♪(王宮場転)♪
 
家来     王様、床屋を連れてまいりました。
王様     ごくろう、早速、髪をきれいにしてくれ。
       おお、そうだ、床屋よ、先に言っておくが、今日ここで見たことは、すべて忘れるのだぞ。
床屋     わかりました、では、早速。(王様の帽子に気づき)王様、髪を切るのにその帽子はちょっと、邪魔になりますが。
(王様、帽子をとる。そこには立派なロバの耳が・・・床屋、思わず笑いそうになるが、ぐっとこらえる)
王様     わしの耳は、変わっておるか?
床屋     ・・いえいえ、ちっとも変わってはおりません。多少、わたくしどもより大きな立派なお耳でございます。
王様 そうか、そうか。では、頼むぞ。
♪(床屋の歌2・・・王様散髪の歌)♪
       ♪お耳がすこし大きいので
       散髪とっても大変です
       (切るなよ、切るなよ、少しでも切ったらわかっておるな)
      私は床屋、この町で一番の床屋(ひとりしかいないけど・・・)
      そんなへまはいたしません
      私は床屋、この町で一番の床屋
      (ひとりしかいないけど・・・)♪
床屋 さあ、終わりました。いかがでございましょ。
王様 (鏡を見て)ふむふむ、いいぞ、なかなかいいぞ。さて床屋、わかっておるな。何か、おかしいか?
床屋    いや、なにもおかしくはございません。
王様 わしの耳のこと、決して人に言ってはならぬ。もし、誰かに話したならば、お前の命は即座になくなると思え。
床屋 わかりました。誰にもいいません。
家来 さあ、これは王様からの褒美だ。ありがたく受け取るがよい。(床屋、褒美を受け取る)
(床屋が、憂鬱そうに考えている)
♪(床屋の歌3)♪
♪お城で見たこと、誰にも言えない
       言ったら、即座に首が飛ぶ
でも、でも黙っているのはとても苦しい
いつも頭の中はあのロバの耳
(母親登場・・・なに、私が老婆だって?まだ耳だってしっかりしているんだからね)
思っていること言えないと
おなかがだんだんふくれていく
でも、でも誰かに言ったら最後
伝えた相手もただではすまぬ♪
母親 お前、お城から帰ってから、まじ、おかしいよ。お腹、どんどん膨れていくし。
      何か、あったのかい、お城で。       
床屋 (床屋、何か、母親に言いそうになるが、思いとどまる)
♪(床屋の母親の歌)♪
母親 ♪この子は、きっとお城に行って
怖い思いをしたんだろう
この子を産んだ母親にさえ
言えない怖いことなんだろう
床屋 (いや、怖いっていうより、どちらかというと笑い出しそうなことなんだけど)
母親 このまま、ほっておいたなら
この子のお腹はどんどんふくらみ
風船みたいに大きくなって
パーンとはぜて死んじまう♪

母親 そう、早く、お医者に行こう。
お医者さまで診てもらおう。
♪(医者場転)♪

(町の医者、待合室、母親が待っている。そこに医者と床屋)
母親 先生、どうですか、この子の病気は。このお腹の膨らみは、治りますか?
♪(医者の歌)♪
医者 ♪私は、医者、町の医者
母親 (そんなこと、知ってます・・・やぶだってことも)
医者 こんな病気は初めてだ
母親 (やっぱり、やぶか!)
医者 私は、医者、町の医者
母親 (だから、わかってるってば)
医者 こんなことわざ、知ってるか?
母親 (え?どんなことわざ?)
医者 もの言わざれば腹ふくるるわざなり♪
母親 どういう意味
医者 つまりだ、この子は、何か言いたいことを我慢していて、それが毎日、毎日、お腹にたまって いってるんじゃ。きっと人にはいえないことなんじゃろう。どこか、誰もいないところで穴でも掘って、それに向かって大きな声で叫べば病気はすぐ治る・・・かも。
母親 (床屋に向かって)わかったかい、早速町を抜けて、どこかで穴を掘り、そのお腹にたまっているものを大声で吐き出しておいで。
(医者に向かって)あんた、案外、良いヤブ医者なんだねえ。
♪(床屋場転)♪
       
(大きな木の下)
床屋 ここでいいか、さあ、穴を掘るぞ。
♪(穴掘りの歌)♪
♪どっこいせ、どっこいせ
大きな大きな木の下に
王様の秘密を埋めるため
大きな大きな穴を掘ろう
やっとこせ、やっとこせ
大きな大きな穴の中
僕のお腹にたまってる
王様の秘密を思い切り
叫んで埋めちまおう
どっこいせ、やっとこせ
どっこいせ、やっとこせ
床屋 さあ、穴が掘れたぞ。これでやっと、楽になる。
(穴に向かって)
王様の耳は、ロバの耳!
王様の耳は、ロバの耳!
王様の耳は、ロバの耳!
ああ、すっきりした、家に帰ろうっと。
(時間が経過する 照明で表現)
♪(羊飼い場転)♪
羊飼い (大きな木の下を通りかかる)
僕?僕はね、羊飼いさ。羊をね、木で作った笛を吹いて集めるんだよ。
(木の枝を見て)この枝、最高!いい笛ができるよ。(枝を切り、削って笛を作る)
♪ピヒョロロットピヒョロロ
ピヒョロロットピヒョロロ
僕が作る笛を羊はとってもお気に入り
どんなに風が吹いていても
どんなに雨が降っていても
笛の音、空に響けば
牧場でどんなに遠くにいても
羊は急いで集まってくる
ピヒョロロットピヒョロロ
ピヒョロロットピヒョロロ♪
羊飼い さあ、できた。吹いてみようか?
(羊飼い、笛を吹く)
笛 王様の耳はロバの耳!(メロディーをつけて)
羊飼い なんだ、これは。でも、なんだか面白い。
(羊飼い、メロディーを変えて何回か吹く そのたびにメロディーを変え、王様の耳はロバの耳)
羊飼い こりゃ、不思議。町に行ってみんなに聞かせてやろう。
♪(王宮場転)♪
王様 (家来に向かって)
町でわしの耳のことが、噂になっていると聞いた。なんでも、羊飼いがその噂をばらまいているそうではないか。あの床屋が話したに違いない。二人をここにつれてくるのだ。
家来 かしこまりました。すでに、つれてきております。さ、二人、ここに来るのだ。
床屋 王様、私は、誰にも話しておりません。信じてください。ただ、町外れにある大きな木の下に穴を掘り、その穴に向かって、王様の耳のことを叫んだだけです。
羊飼い ぼくも、何もしゃべっていません。信じてください。ただ、町外れの大きな木の枝で笛を作り、その笛を吹いただけです。その笛の音が、王様の耳のことをしゃべったのです。
王様 そのような、馬鹿なことがあるか、その笛を貸してみろ。(王様、笛を吹く。メロディがついて、王様の耳はロバの耳・・・と鳴る)
王様 ほんとだ、面白いの。しかし、お前たち二人を許すわけにはいかぬ。(刀を抜く)
(宮殿の外から、歓声、どうやら「王様、万歳」と聞こえる。
(家来が息を切らして入ってくる)
家来 王様、大変です。宮殿前の広場にたくさんの国民が集まっており、叫んでおります。
王様 何?それで、なんと叫んでいるのだ。
家来 王様の耳はロバの耳、国民の声をよく聞こうとして大きな耳を持っているのだ。王様、万歳!!と叫んでおります。
王様 ・・・・なるほど・・・私が悪かった。私はこの耳のことをかくす必要はなかったのだ。
(床屋と羊飼いに向かって)
すまないことをした、本当のことを知らせることの大切さがわかった。お前たちのおかげだ。(家来に向かって)このものたちに褒美を与えてくれ。それと牢屋につながれている床屋たちも町に帰してあげてくれ。
(宮殿の外、王様万歳の声が、もっと大きくなる)

♪(フィナーレ)♪

医者 私は、医者、町の医者
母親 医者は医者でもヤブの医者
医者 (手を横に振りながら)息子は治ったじゃないか?
床屋 そうさ、やっぱり先生は名医
羊飼い 王様だって救われた
(僕らの首はつながってるし・・・)
家来 みんなのおかげで救われた
国のすべてが救われた
床屋 (王様のその後は?)
家来 とても不思議なことだけど
みんなの話をよく聞いて
昔の王様とは大違い
床屋 あの大きな耳で聞くんだね
家来 もひとつ不思議なことがある
全員 (不思議なこと?それは何?)
家来 (王様!さ、こちらに)
王様、登場
床屋 あれ!耳が・・・ロバの耳じゃない!
王様 不思議なことに、国民の
話をきいて考えるたび
わたしの耳は小さくなって
今では普通の耳になってしまった
床屋 それじゃ、ロバの耳・・・なんて言えないね。
王様 いやいや、今でもこの耳は
ロバの耳のつもりでいる
いろんなひとの話が聞こえるように
わたしの耳は大きくなければな
羊飼い (じゃ、いいのかこの笛を吹いても)
王様の耳はロバの耳
全員 王様の耳はロバの耳
王様の耳はロバの耳
万歳、万歳、王様
万歳、万歳、王様♪
家来 みんな無事、家に帰ることができて。それから、王様だって、いい王様になったし、よかった、よかった。
これで、お話はおしまい。どうだった?オレンジペッパースのミュージカル。
それじゃ、さよならする前に、出演者を紹介するね。
まず、床屋さんのお母さん・・・知子です。
次は誰かな、町のヤブ医者・・・コ―ディー。
それから、ロバの耳を持った王様・・・武蔵。
笛が得意な、羊飼いの若者・・・莉沙。
それから、陽気な町の床屋さん・・・永扇。
最後に、家来の亜美でーす。
今日は、このミュージカル、最後まで観てくれてありがとう。

また、会おうね。それじゃ、バイバーイ。
♪(ダンス音楽)♪
全員、踊る。
  1. 2016/08/24(水) 10:22:53|
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プロフィール

三毛猫ファジー

Author:三毛猫ファジー
いつの間にか、脚本を書いていた。
自分で書いていながら、登場人物の名前を覚えていられないので、いつも困っている。(演出が)
ミュージカルの終はハッピーエンドが最高。しかも単純なストーリーで。
役者は、いつも文句ばかり、「長台詞が多すぎる!」・・・一応、ミュージカルですが・・・

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